経済成長に対する逆風が強まり、今後の債券利回りに大きな不確実性が生じているなかでは、 市場のボラティリティを乗り切るには運用スキルと確かな視座をもつことが必要です。
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当然のことながら、市場での再評価には時間を要しますが、金利環境が安定するにつれて、魅力のある長期的価値が見直され、パフォーマンスの見通しが好転することが期待されます。 これはM&Gの意見ですが、過去の実績を振り返っても、不動産投資がリターンを生むのは不況から脱してから数年後であることが多く、これからがベストビンテージとなる可能性があります。
格付けが同等の債券の利回りが大幅に上昇している現在、いくつかのセクターでは低い不動産利回り物件への投資を正当化することは困難になるでしょう。 投資家のリスク回避の姿勢が世界的に高まっていますが、不動産市場の多くの分野が構造的な追い風要因が存在することから、投資家はインカム収入と物件価値上昇を通じて対債券スプレッドが維持されることを期待しています。
不動産投資の収益は世界的に低下圧力にさらされています。これは、各国の中央銀行が利上げを通じてインフレを抑え込もうとしていることに起因します。
短期的な視点に立てば、資産の価格水準が変化することは世界の不動産市場と投資家に影響を与えます。相場の調整は、投資物件の質によって、ポートフォリオのパフォーマンスに大きくかい離が生じる可能性があります。しかし、それはまた、新たな投資機会を生み出す可能性でもあります。 コア不動産、及びインフレ率の上昇に伴う賃料改定が済んでいるインフレ連動の物件に関しては、長期的な価値の上昇が期待できる一方、古い物件の「ブラウン (陳腐化)」ディスカウント 幅が大きくなると考えられます。したがって、現代的な設備を求めるテナントの要件を満たすために包括的な改修を行うことが、不況から脱した後の魅力的なリスク調整後リターンにつながると考えられます。
オフィスや物流施設など、従来型の不動産投資が構造的かつ循環的な難しい局面にあるため、ポートフォリオ内の配分変更が必要になるでしょう。住宅や学生用宿泊施設などの生活に不可欠な特性をもつ資産は、長期的な需給が不均衡であるため、最重要視する価値があると考えます。 ただし、不動産投資も金利上昇の影響を免れることはできません。投資家は、賃料や建設コスト、及びテナントの支払能力を十分考慮して投資する必要があると考えます。
一般家庭が生活費の高騰に苦しんでいる現在、投資家が社会にプラスとなるインパクトを創り出すことの優先度がますます高くなっています。手頃な価格の住宅を供給することは喫緊の課題でありますが、公共部門は需要を満たすだけの供給を賄うことができていません。 同様に、当局による規制やテナントの要求も厳しくなっています。建設コストが上昇するなかでも、物件に要求されているESG基準を満たすことには交渉の余地がありません。不動産市場が次のサイクルに移行しようとしているなか、ESG 基準を慎重に検討し、投資額を最大限に活かす設備投資は、新しいサイクルにおいても不動産投資戦略にとって重要であることに変わりはないと考えます。
すべての目が不動産価格に向けられている
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When comparable bond yields have gone up significantly, justifying low property yields in some sectors could become more challenging. Risk aversion is increasing among investors, yet many parts of the real estate market continue to reflect attractive structural drivers, supporting prospects for income and growth and helping to counter the impact of narrowing spreads of property yields over bonds. Revaluations will naturally take time to play out, but as yields reach stabilisation, we believe assets are likely to reflect an attractive long-term value opportunity, with improved performance prospects. With economic headwinds rising, steering through market volatility will require skill and perspective. History shows that it is often in the years after recession that real estate delivers, with the potential for repricing to create the next best vintage of investments.
国債利回りの上昇が不動産価格の押し下げ圧力になる可能性
労働市場のダイナミクスは景気後退の逆風を和らげる可能性がある
政策金利と国債利回りは急速に上昇
英国の中央銀行は、他国・地域の中央銀行と歩調を合わせて、金利を歴史的な低水準から引き上げました。 たとえ食料や燃料の価格の上昇率が鈍化したとしても、労働市場のひっ迫とそれに伴う賃金の大幅な上昇により、インフレ率が高止まりすることが想定されます。 英国の現況を勘案すると、利上げのペースは欧州各国よりも米国に近いものにする必要があるというのがM&Gの見方です。 利上げに伴う国債利回りの上昇は、不動産価格の押し下げ圧力になる可能性があります。 ただ、金利環境が安定するにつれて、不動産が魅力のある長期的な投資価値であることが見直され、パフォーマンスの見通しが好転することが期待されます。
Macrobond、2022年11月21日現在
出所 +
世界金融危機時に比べて堅調な労働市場
一般家庭が食料、燃料、住宅などの必需品に費やす額の増加に伴ってその他の支出額が減少していることから分かるように、インフレと金利上昇が消費者と企業に影響を及ぼしていることは明白です。 インフレに加えて、政治的な混乱や債券市場におけるボラティリティの上昇も、消費者心理と経済活動を短期的にはさらに押し下げる可能性があります。 英国ではリセッション入りしている可能性が高いものの、堅調な労働市場がリセッションの緩和役となるかもしれません。 ブレグジット後の労働者不足と、航空業界などにおける雇用維持スキームにより、現在では雇用主は従業員の引き留め策を強化しており、このことが家計と経済を支える要素となっています。 企業のバランスシートも世界金融危機時に比べて健全であり、現在の逆風環境が収束すれば、市場は予想よりも素早く回復に向かうことが期待されます。
ONS、2022年10月
経済概観
英国不動産価格の上昇に対する期待
住居セクターの拡大
リテールが物流施設をアウトパフォームする可能性
英国は、他の国々と比べて経済が安定していないこと、及び不動産物件のバリュエーションも不安定であることから、すぐに価格水準が見直され、利回りが上昇することも予想されます。 一部の投資家は英ポンド安のメリットを享受しており、このメリットが短期的に消滅する可能性は低く、投資対象として魅力的であると考えられます。 不動産市場において価格水準が見直される可能性が極めて高い理由として、債券のように長期にわたってキャッシュフローを獲得できる特性を有する物件種類を筆頭に、不動産が一般的に金利に敏感な性質を有するからです。 投資家によるリスク回避姿勢が高まった際は、賃料水準が見直された後のインフレ率に連動するコア資産が、不況時の空室リスクが高く品質に劣る物件をアウトパフォームする可能性が高いと考えます。
外国人投資家にとって英国不動産は英ポンド安によって割安になっている
不動産投資が高リターンを生むのは不況から脱してから数年後であることが多い
右上グラフ:Macrobond、2022年10月
加速する賃貸住宅の不足
構造的な理由により、オフィス分野の一部が逆風環境にあり、また物流施設の価格水準が大幅に調整される可能性があるため、これらの分野への配分を縮小し、入れ替えが必要となる可能性があります。 生活に直結する分野は、経済循環、構造的な理由、環境・社会・ガバナンスの要素という観点から引き続き魅力のある分野です。 経済がたとえ減速しても、住宅に対する基本的な需要に関しては、ビルドトゥレント (賃貸のために建設された物件) 物件や学生専用宿泊施設 (PBSA) の賃料上昇が期待できるため、入居率が維持される可能性が高いと考えられます。 英国の不動産は構造的に供給不足の状態が続いてる一方、既存物件はネットゼロ目標を達成するにはほど遠い状況にあります。 生活費高騰に苦慮している家計への対策として、手頃な価格の住宅を供給する必要性が以前にも増して高まっています。これは、公共の機関が賃貸の社会住宅やシェアードオーナーシップ (1戸の住居を住宅協会と共同所有するスキーム、「Shared Ownership」) を通じて対処することが可能です。
Hometrack 『UK Rental Market Report』2022年第3四半期
市場の価格水準の見直しにより、リテール施設が物流施設をアウトパフォームする可能性
ここ数年は「リテールから物流へ」が合言葉でしたが、ここにきてセンチメントは変化しています。 債券利回りが上昇しているため、不動産利回りが低いことを正当化するのは難しい状況にあります。そのため、投資家は物流施設への投資のリスクプレミアムの見直しを進めており、そのことがパフォーマンスに影響を与えています。 対照的に、英国の商業用不動産の価格調整は済んでおり、一部の分野では国債とのスプレッドが拡大しており、魅力的なインカム収入が期待できるようになっています。 市場の価格水準の見直しが行われた際は、リテール施設が物流施設をアウトパフォームするとM&Gは見ています。 長期的、構造的な変化は、現在の状況を一変させる可能性があります。
『MSCI Monthly Digest』2022年10月
不動産投資のテーマ
長期的な投資機会
注意深く前進
強靱性
農林業など、高い持続可能性を備えている一方でディフェンシブであり、多様化に寄与し、インフレ耐性が高い特性を有しているカーボンポジティブ (二酸化炭素排出量より吸収量が多い) の自然資本への投資への注目が高まることが予想され、長期的に健全なリターンを提供すると考えられます。
農林業
手頃な価格の住宅は根本的に需給が不均衡な状態にあり、家計が生活に苦慮している現在はより深刻になっていますが、公共部門は需給ギャップを埋める余力がないのが実情です。 公共住宅は、潜在的なインフレ耐性を備え、安定したインカム収入を提供するディフェンシブな分野である一方、社会的インパクトに対する関心の高い投資家にとっては魅力的な投資対象です。
公共住宅
一般的にプライムの物流施設は循環的な逆風環境にありますが、e-tailingによる追い風は構造的なものであり、都市部の好立地にある物流施設は投資対象として長期的な魅力を提供していると考えられます。 ロンドン及びサウス・イースト・イングランド地方の物流施設に関しては、賃料が今後も好調に増加する見通しがあるため、価格水準が調整された際は、良好なパフォーマンスを上げる可能性があると考えられます。
ロンドン及びサウス・イースト・イングランド地方のプライム物流施設
柔軟な働き方の台頭は、バックオフィス需要に対する依存度が高いサウス・イースト・イングランド地方のオフィスに大きな影響を与えることになると考えられ、特にESG要件を満たしていない物件で顕著となるでしょう。 例外もあります。例えば、オックスフォードとケンブリッジは、ライフサイエンスやテクノロジー産業とのユニークで強力な連携関係の恩恵を受けて、発展し続けると考えられます。
サウス・イースト・イングランド地方のオフィス
コアでない物件は厳しい逆風を受けており、ネットゼロ目標の達成のために、テナントがより質の高い ESG要件を満たしている物件に焦点を当てていることで、短期的には入居率の低下、長期的には売却の対象になる可能性があります。 ブラウンディスカウント物件の価格水準が、優良物件よりも調整の幅が大きくなることが予想されます。コアでない物件のなかでも立地が良い物件には、改修によって物件価値を高める投資機会が存在していることを意味していると考えられます。
コアでない物件
構造的な変化が起きているため、今まで好調であった伝統的リテールに対する需要が減退する可能性があります。賃料水準が調整されたため、現在の利回りは過去の低い水準より健全な水準になっているものの、投資家は伝統的なリテールよりもe-tailing (製造業者がインターネットを介して直接消費者に販売する形態) を魅力的に捉えています。 消費者の購買力が低下していることで、立地条件に優れない物件の入居率に影響が出てくる可能性がありますが、優れた立地条件の質の高い物件は逆風環境においても持ちこたえる可能性が高いと考えられます。
優れた立地条件のリテール
住居は人々にとって不可欠なものであり、それは、長期間にわたって民間の賃貸住宅や手頃な価格の住宅に居住する人にも、短期間に学生用宿泊施設に滞在する人にも当てはまります。 過去の不況は、住宅がディフェンシブな資産であることを示しています。今後、物件の価値は賃料の伸びが支える可能性が高く、一般の物件に比べて手頃な価格で入居できるビルドトゥレント物件はなおさらです。
住宅セクター
投資戦略
Macrobond MSCI Annual Index (data -2021年末).
過去の実績は将来の状況やパフォーマンスを予測するものではありません。
The value of investments will fluctuate, which will cause prices to fall as well as rise and investors may not get back the original amount they invested. Past performance is not a guide to future performance. The views expressed in this document should not be taken as a recommendation, advice or forecast.
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As households cut back spending and focus on essentials like food, fuel and housing, the effect of higher inflation and interest rates on consumers and businesses alike, is plain to see. Added political upheaval and bond market volatility may weigh further on sentiment and economic activity in the short term. The UK is likely now in recession, but the country’s labour market dynamics could help cushion the blow. A shortage of workers post-Brexit, and since furlough in industries like aviation, means employers are eager to retain staff, providing support for households and the economy. Balance sheets also look healthier compared to the GFC, which should position the market to recover more quickly, once current headwinds recede.
In keeping with central banks across the world, the Bank of England has increased UK base rates from historic lows. A tight labour market and strong wage growth may sustain inflation at higher levels however, even as food and fuel price growth eases. A greater rise in rates may be needed, to compensate, with the UK trajectory likely to be closer to the US than Europe, in our view. Higher gilt yields, as a result, are likely to increase pressure on property pricing. As yields reach stabilisation, assets should reflect an attractive long-term value opportunity, with better performance prospects.
The labour market is far more robust this time around
Higher economic and valuation volatility versus other markets is likely to prompt more rapid repricing and higher available yields. The currency advantage available to some investors is unlikely to erode in the short-term, offering attractive investment potential. Early repricing evidence is starkest for property that is interest rate sensitive, including bond-like real estate that aims to tap into long-term cash flows. As increased risk aversion filters through valuations, core, inflation-linked property at rebased yields is likely to outperform secondary assets in our view, which could be vulnerable to vacancies in a recession.
With structural headwinds facing parts of the office sector and significant pricing on the cards for logistics property, portfolio allocations to these sectors are likely to shrink, and will need to be replaced. Real estate Living sectors have shown continued appeal from a cyclical, structural and Environmental, Social and Governance perspective. A fundamental need for housing continues to support occupancy, with rental growth potential for Build to Rent housing and Purpose Built Student Accommodation, even as the economy slows. The UK remains structurally undersupplied, while existing stock is far from compliant with net zero carbon targets. The need for affordable homes is increasingly pressing as households contend with the cost of living crisis – a gap that institutions can help to fill, whether through social rented or Shared Ownership housing.
‘In with logistics, out with retail’ has been the mantra in recent years, however sentiment is changing. Low real estate yields are harder to justify, given rising bond yields. Investors are therefore seeking to re-establish a risk premium for logistics, impacting performance. In contrast, UK retail property has already been through a pricing adjustment, offering a spread over gilts, and attractive income potential in parts of the market. We believe retail is likely to outperform logistics as markets reprice. Long-term, underlying structural trends are likely to restore the status quo.
ユーロ建ての債券利回りは上昇しているが、米国・英国の水準よりはるかに低い
一時的なインフレ要因は緩和傾向
イールドカーブの形状を見る限り、ピーク時のユーロの金利は米ドルや英ポンドほど高い水準にはならない見通し
ユーロ圏における利上げは米国や英国より遅く始まりましたが、引き上げ開始時の金利はより低い水準でした。 欧州大陸各国のインフレ率が米国や英国ほど高くならないことが想定されているため、到達金利も米国や英国より低い水準になると考えられます。 債券利回りは政策金利の引き上げにより上昇しており、不動産投資の対債券スプレッドは縮小しています。 ただし、先般までユーロ建て金利・債券利回りがマイナスであったこともあり、そもそも不動産スプレッドが拡大した状況にありました。 したがって、欧州大陸の不動産利回りが適正な水準を回復するためには、米国や英国ほど利回りが上昇する必要はないと言えます。
Macrobond、イールドカーブは2022年11月21日時点
この数か月で海運、原油やガス、食糧価格が下落
ウクライナは欧州に属しており、そこでの戦争の終結の見通しがたたないため、不確実性がますます高まっています。冬に突入するなか、欧州各国のおいてエネルギーの供給とその価格への影響が以前にも増して強く感じられるようになるでしょう。 各中央銀行はインフレを収束させるために継続的に利上げを行っており、そのことが経済を減速させています。 しかしながら、市場の動きにより、一時的にインフレを加速させていた要因の一部が緩和 (あるいは反転) し始めています。 ロシアからの天然ガスの輸入禁止合意を受けて、欧州は天然ガスへの依存度を大幅に下げようとしている中、ノルウェーのような他の供給国によって貯蔵量を増加させています。 コモディティ価格の下落が消費者物価に反映されるまでに時間を要することや、インフレ率が遅行指標であることを考えると、足元のコモディティ価格の下落が総合インフレ率を低下させるにはまだ時間がかかると考えられます。 一方、インフレ率を長期にわたって低く抑えてきたグローバリゼーションや格差などの要因に変化の兆しが見え始めている一方で、インフレ率を上昇させる新たな構造的要因が現れ始めている可能性があります。
Bloomberg、2022年10月
規制により銀行が借換えを縮小させることで不良債権が増加する可能性
住宅:まったく無傷とは言えないが、ディフェンシブな分野
高いパフォーマンスを上げるのは最高品質の物件だけ
銀行が融資額をさらに減少させることに伴い、デットファンドが市場シェアを高める可能性が高い
市場全体で見た場合、現在の資産価値に対する負債比率 (LTV) は世界金融危機時に比べて低い水準にありますが、金利上昇に伴い、資産担保証券のなかには債務の履行に問題が生じる案件が表面化する可能性があります。 保守的なドイツのファンドブリーフ債の発行銀行などは、レバレッジ比率が高い案件や債務比率の引き下げを伴う案件のリファイナンスを行うと、インタレストカバレッジレシオなど、ローンのコベナンツ条項に抵触する可能性が生じるため、リファイナンスに消極的になる傾向があります。 そのような場合、売却に迫られた投資家が買い手にとって魅力的な価格で売却することが考えられ、このような物件の取得は投資の好機になる可能性があります。 短期的には高いボラティリティが続く可能性がありますが、このような物件は、ボラティリティが収まった際は良好なリターンを生む資産になる可能性があります。 銀行が借換え案件を削減しており、その隙間を埋めるべく、銀行以外の貸手が、有利な金利・利ざや条件で与信を供与する余地が生じています。
(2023年と前年の貸し手に関するアンケート結果)
金利の上昇により住宅ローン返済の負担が増加していることから、欧州の住宅価格が下落する可能性が生じており、賃貸住宅物件の価値に悪影響を及ぼす可能性があります。 一方、物件の値下がりリスクを相殺できると期待されるのは、特にオランダ、スウェーデン、デンマークなど、住宅価格が手頃でない水準である国において賃貸住宅を希望する個人による需要の増加です 欧州諸国では賃貸住宅を求める人々を支援するため賃料に規制が設けられており、借手は適正な賃料で住宅を借りることが可能となっています。このため投資家は安定したキャッシュフローを確保できると考えられます。 さらに、不動産に投資する投資家が住宅分野への配分を増加させているため、投資利回り上昇圧力が弱まると考えられます。 このような需給環境やディフェンシブな特性を備えているため、過去の景気後退で見られたように、投資元本に対して相対的に耐性の高さを維持できると思われます。
住宅への投資は景気後退期において他分野に比べて耐性が高い
欧州大陸のオフィス需要は質の高い物件に集中
この20年で雇用は拡大しましたが、欧州の多くの都市ではそれに見合うだけのオフィス面積が足りない状況が続いています。 テナントが物件に求める要件は変化しており、質の高い物件に対する需要が増加しているため、要件を満たさないオフィスには陳腐化リスクがあります。この数年でこのことは、商業施設の一部にも当てはまるようになりました。 また、オランダを筆頭に欧州大陸各国は規制を強化しており、オフィスビルは2023 年からエネルギーラベルでC以上の水準を満たす必要があります。 古い物件の大規模改修に要するコストは高額になるでしょうが、工事を遅らせることは (せいぜい) 見かけ上の節約にしかならないでしょう。テナントが求める水準が年々高くなっているため、小手先の改善で長期的なニーズに対応できる可能性は高くありません。
JLL、2022年9月
Savills、2022年6月
学問水準が高い大学の近くにある学生用宿泊施設に対する需要が高い状態にあるなか、欧州の多くの国では供給不足が続いています。 一方、欧州全体で高齢化が進んでおり、裕福な地域における質の高い高齢者用居住施設は、コミュニティの生活と快適さといったオプションを追加的に求める需要が強く、住宅需要を押し上げる可能性があります。
学生用宿泊施設と高齢者用居住施設
価格水準の調整が古い物件の大幅な割引につながっているため、資産管理に多額の投資をいとわない投資家にとって、そのような物件を魅力的な価格で取得し、ESG準拠にすることが大きな利益につながる可能性があります。
改修が必要な物件
現在、欧州主要都市の中央ビジネス地区にあるプライムオフィスの空室率は概して低くなっています。 しかしながら、同じことが多くの国のグレード B・ Cの物件には当てはまるわけではありません。 投資家がグレード B・ Cの物件をESG準拠に改修するには多大なコストを負担する必要が生じます。したがって、このような物件は賃料並びに物件価格の下落リスクが高いと言えます。
空室率が高い地域に所在する古いオフィス物件
パンデミック後に買い物客が戻ってきたことに伴い、ハイストリートにある小売店では売上げが急回復したとはいえ、依然としてそのような店舗にとってe-tailingが引き起こしている構造的な難題が存在します。また、消費者が生活費高騰のなかで裁量的支出を削減すると考えられます。 金利水準の上昇も、利回りが低い都心部の商業施設が直面する脅威の一つです。
ハイストリートに所在する低利回りの小売業用物件
食料品小売業は、その本質を考慮すると、経済が低迷している時期によりディフェンシブな特性を発揮します。 食料品は他の小売り商品と比較してオンラインでの購入が少ないことを勘案すると、e-tailingの普及に耐えられると考えられます。
食料品小売業・ショッピングセンター
民間の賃貸住宅に投資する投資家は安定したキャッシュフローを確保できると考えられます。賃貸住宅の利回りが低下する可能性はありますが、経済センチメントの悪化と住宅ローンのコスト上昇によって所有を諦める個人による需要が価格を下支えすると考えられます。 さらに、欧州の多くの国で導入されている賃料規制は、賃借人が手頃な価格で居住することを支援する制度ですが、同時に、賃借人が長く居住することを促す制度でもあると考えられます。
民間の賃貸住宅
欧州のオフィス需要は品質に再び注目が集まる
MSCI、2022年10月
The war in Ukraine is still playing out on Europe’s doorstep, stoking ongoing uncertainty. The impact on energy supplies and prices will be felt more intensely as we head into winter. Central banks continue to tackle inflation through interest rate rises, in turn slowing economies. Some temporary drivers of inflation have begun to moderate or reverse, however, as market forces swing into action. With the flow of Russian natural gas disrupted and Europe seeking much less dependence on it, other suppliers like Norway have been turned to and substantial stores have been built up. Given lags in how price changes are passed on to end consumers, and the backward-looking nature of inflation numbers, it could take time for recent commodity price falls to bring down headline inflation. Yet long-term factors which kept inflation low historically, including globalisation and inequality, could be changing, which may imply a new regime of higher structural inflation.
Base rate rises in Europe have arrived later, and from a lower level, than in the US or UK. Rates are also expected to peak at a lower level, owing to Europe’s relatively lower inflation prospects. Bond yields have risen accordingly, narrowing the risk premium of property over bonds. Yet the yield spread was wide to begin with, given that some European interest rates and bond yields were until recently in negative territory. It therefore seems likely in our view that property yields will need to expand by less in Europe than in the US or UK to restore a healthy spread over bonds.
Employment has been growing over the last 20 years – but office stock has not kept pace in many European cities. With occupiers recalibrating their requirements and increasingly focused on high quality space, offices that fall short run the risk of fading into obsolescence – akin to parts of the retail property sector in recent years. Regulation is also becoming more stringent, led by the Netherlands, where office buildings must reflect an energy label of C or above from 2023. Despite the high cost of heavy retrofitting for older assets, delaying works could (at best) be a false economy. Occupier preferences continue to evolve, therefore light improvements may not serve long-term needs.
Higher interest rates are making mortgage costs more expensive, initiating the potential for falls in European house prices, which could negatively impact investment values for rented residential property. However, an offsetting factor is the potential for increased occupational demand for rented housing, particularly in markets where house prices are least affordable, such as the Netherlands, Sweden and Denmark. Residential rent controls in European markets help with affordability for tenants, and could provide stable and secure cashflows to investors. In addition, with allocation to the residential sector growing in real estate portfolios, upwards pressure on investment yields may be reduced. These supply and demand dynamics and defensive qualities support the sustained resilience of capital values, as seen in previous downturns.
Although aggregate loan to value ratios are lower today than during the GFC, some debt-backed property investors face potential for distress as interest rates go up. Banks, including conservative German Pfandbriefs, may be unwilling to refinance leveraged assets, or at a lower debt quantum only, owing to the potential for loan covenant breaches – particularly interest coverage ratios. Forced sellers may therefore bring assets to the market, creating a potential opportunity for investors to acquire real estate at attractive, discounted pricing. Though volatility is likely to prevail in the short term, these assets could offer strong return potential thereafter. The gap created by banks’ retreat could also enable non-bank lenders to capitalise on higher lending yields and margins.
域内で異なった見通しを有するアジア太平洋地域諸国
嵐の真っ只中とは言えないが、経済の逆風は続いている
投資機会を創出している通貨の変動
アジア太平洋地域の先進各国は、それぞれ異なった経済構造を有しているため、不動産市場も異なったファンダメンタルズを有しています。 シンガポールは東南アジアへの、香港は中国への玄関口です。一方、オーストラリアは、日本とは対照的に、高い人口増加率とインフレ率が比較的高い国です。 このように先進各国が異なった特性を有していることにより、アジア太平洋は多様性をもつ投資対象となっており、それぞれの国が備える独自の価値に投資する機会を提供しています。 2021 年以来、韓国ウォンと日本円が対米ドルで急落したように、対米ドルで各通貨が下落しており、より少額の米ドルで投資できる機会を提供していると考えられます。 不動産の価格水準が修正されたことと、アジア太平洋各国がそれぞれ異なる経済・市場見通しを有することと相まって、アジア太平洋各国の不動産投資が域外資本に魅力的に映る可能性があるとM&Gは考えています。
Bloomberg、2022年10月現在
アジア太平洋地域諸国の多くは対中国輸出の依存度が高い
ほとんどのアジア太平洋地域の先進国で、コモディティ価格とエネルギー輸入のコスト上昇がインフレ圧力となっており、賃金と建設コストを押し上げています。 アジア太平洋地域のほとんどの中央銀行は、米FRBのタカ派的な利上げに歩調を合わせて金利を引き上げました。その結果生じた債務返済のコスト上昇がアジア太平洋地域の企業や投資家の収益に悪影響をもたらしています。 ゼロコロナ戦略の継続や不動産セクターにおける脆弱性が増していることなど、中国経済は逆風環境にあり、それに伴い国内の消費と製造業は圧迫を受けており、アジア太平洋地域の貿易相手国にも悪影響が及んでいます。例えば、韓国の2022年10月の輸出額は、前年同月比で15.7%減少しました 。 中国を除いたアジア太平洋地域諸国では、新型コロナウイルス感染症対策の制限が大幅に緩和されたため、ゲートウェイ都市や観光地は商品・サービスの需要増の恩恵を受けると考えられます。 アジア太平洋地域諸国が世界経済の低迷・リスクの影響をまったく受けないわけではありませんが、アジア太平洋地域は、中間層の拡大に支えられて、中期的には堅調な成長を遂げると予想されます。
1
1 South China Morning Post『South Korea’s China exports plunge 15.7 percent, underscoring drop in semiconductor demand』2022年11月
各国政府、Bloomberg、2022年11月 注:香港、日本、シンガポールは2021年、韓国は2022年5月、オーストラリアは2022年10月
脱炭素化が拡大を促すブラウンディスカウント
オーストラリアのビルドトゥレントセクターは下落耐性を提供する
日本の魅力を高めているハト派的な金融政策は続くか
グリーンオフィスの賃料プレミアム
アジア太平洋地域各国はネットゼロ目標への取り組みを強化しており、その一環として各都市は建物の脱炭素化目標を設定するようになりました 。 近年、送電各社は脱炭素化を進めていますが、野心的な目標を達成するには、その速度を大幅に速める必要があります。2021 年のオーストラリアの総発電量のうち、再生可能エネルギーを利用した発電はわずか29%でした 。 アジア太平洋地域における不動産物件は一般に欧米各国に比べて築浅のものが多いのですが、不動産の所有者数が多いことが市場の発展のための課題となるでしょう。 グリーンビルディング (建物全体の環境性能が高まるよう最大限配慮して設計された建築物) は築浅である傾向があり、築浅であるがゆえに必然的に賃料がより高額になるため、現時点ではグリーンではない建物の賃料にどの程度のプレミアムが上乗せされているかを正確に把握することは困難です。 ただ一方では、テナントも投資家によるESGに対する関心が著しく高まっており、環境認証を取得していないような物件は入居率が低下するリスクがあります。 古い物件も「ブラウンディスカウント (ESG要素の弱い物件の賃料割引)」要求の対象となる可能性があり、市場で価格水準の調整が起きた場合は、グリーンビルディングとの格差が広がると考えられます。
1 建物は都市における二酸化炭素排出量の約60%を排出している。出所:JLL『Decarbonizing Cities and Real Estate』2022年5月 2 オーストラリア気候変動・エネルギー・環境・水資源省 (https://www.energy.gov.au/data/renewables) 、2022年11月現在、出所:Savills『Asia Pacific ESG report』2022年5月
Savills, Asia Pacific ESG report, May 2022
安定傾向を示すビルドトゥレント物件の入居率
オーストラリアはアジア太平洋地域の他国に比べて金利水準が高く、経済成長率が低迷することが予想されていることから、不動産市場の価格水準の調整がより大幅になる可能性があります。 住宅価格の下落が住宅市場の過熱感を若干緩和すると考えられますが、相対的に住宅所有コストが高いこと及び都市化の進行により、賃貸物件に対する需要の強い状態が続くと考えられます。 誕生したばかりのビルドトゥレント (賃貸のために建設された物件) 分野も、金利上昇の影響を免れることはできませんが、一般的には、市場が低迷している時でも他の分野よりも強い耐性を示す傾向があります。 シドニー、メルボルン、ブリスベンにおける入居率は、パンデミックの間でも一貫して95%を超えており、シドニーとメルボルンにおける賃料上昇率は比較的安定しています。 安定したインカム収入が期待できることは、物件価値の下落を防ぐことにつながり、ポートフォリオの耐性を高める役目を果たします。
PMA、SQM、2022年10月現在
日本では、他国と比較して短期金利と長期国債利回りが共に低い水準にあり、また長短の金利差が小さいため、不動産の利回り・スプレッドは魅力的です。そして、価格水準が調整される可能性は限定的と考えられます。 金利環境により、円は大幅に下落し、対米ドルではこの数年で最も円安の水準となりました。 円安により、輸入物価が上昇していることで、総合インフレ率は日銀の目標である2%を上回るようになりました。 このような逆風環境が続いた場合、消費者の購買力と企業利益が悪化することで、日銀がハト派的な金融政策スタンスからの転換を迫られる可能性があります。
日本の不動産利回り・スプレッドは魅力的
日本ではインフレ圧力が高まっている
右上グラフ:PMA、2022年10月現在
右下グラフ:Oxford Economics、2022年10月現在
ソウルの住宅価格は2017年から2021年の間に2倍に上昇し、マンションの平均価格は100万米ドルを超える水準になりました 。そのため、マイホームはますます困難になっています。 専門家によって管理されている賃貸住宅が不足している状況のなか、機関投資家は、地元の開発業者とのパートナーシップを通じて質が高く、手頃な価格の住宅を提供することにより、魅力的なリスク調整後リターンを獲得することが期待されます。
韓国の生活関連分野
東京、大阪、京都、福岡などの日本の主要都市におけるホテルなどの宿泊施設は、パンデミック後の旅行需要の回復の恩恵を大きく受けると考えられます 。 香港やオーストラリアの主要な観光都市など、長期的な旅行需要が期待される地域も、価格水準が調整されるにしたがって、相対的な価値を提供すると考えられます。
宿泊施設
物件の質、ESG要件、立地条件の優劣によるオフィス物件の二極化が進むなか、コアではない所在地の古い資産は、陳腐化やリターンが低下するリスクが高まっています。
プライムでない所在地にある古い物件
小売業は仕入れコストの上昇や経済減速圧力など、依然として事業環境が厳しい状態にあります。 オムニチャネルに突入している現在では、アクセスの悪い所在地にあり、販売を促進させるための条件を備えていない古いリテール物件に対する需要は、さらに縮小する可能性があります。
身動きが取れないリテール物件
日本の集合住宅は、東京や大阪などの主要都市の中心部に居住したいとする層による賃借需要の伸びにより、パンデミック期間中でも需要は堅調に推移しました。 オーストラリアのビルドトゥレントは、良好な人口動態及び主要都市における手頃な価格の物件が慢性的に不足していることに支えられて、中期的に成熟すると考えられます。
集合住宅・ビルドトゥレント物件
物流施設の賃貸市場は、買い物が電子商取引へ移行していることに支えられ、全般的に健全な状況が続いています。したがって、名古屋や大阪など、最新の物流施設が不足している地域は、投資家に魅力的な相対価値と開発の機会を提供すると考えられます。 質の高いテナント向けのビルドトゥスーツ (入居するテナントの要望に沿って建設された物件) 形態では、投資家が賃貸契約のリスクをある程度コントロールできるため、中長期的に耐性の強いインカム収入源となることが期待されます。
最新の物流施設
1 Forbes『Meet the Korean apartment startup disrupting a red-hot housing market』2022年9月 2 世界経済フォーラム『Travel and Tourism Development Index 2021』
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Higher cost of commodities and energy imports have led to inflationary pressures in most developed Asia Pacific (APAC) economies, driving up wages and construction costs. Most central banks in APAC have moved in lockstep with the US Federal Reserve’s hawkish rate hikes; higher debt costs as a result are likely to affect the bottom line for corporates and investors in the region. Headwinds to the Chinese economy, including continuation of a zero-COVID strategy and deepening weakness in the real estate sector, could further weigh on domestic consumption and manufacturing, adversely impacting regional trading partners. South Korea’s exports dropped by 15.7% year-on-year in October . With COVID restrictions largely eased across the rest of Asia, however, gateway cities and tourist destinations are likely to benefit from demand for goods and services. While far from immune to global economic weakness and risks, the APAC region has more resilient growth projections in the medium term, buoyed by its growing middle class.
Developed APAC markets have different economic structures, depicting unique market fundamentals. Singapore and Hong Kong are gateways to Southeast Asia and China, respectively. Meanwhile, Australia is characterised by high population growth and inflation – in contrast to Japan. These differing characteristics present opportunities to diversify across developed APAC and tap into the unique value proposition offered by individual markets. Local currency discounts against the US dollar could also present cheaper buying opportunities (acute depreciation has occurred in the Korean won and Japanese yen since 2021). A repricing of real estate assets, combined with the potential to capitalise on the differing prospects across APAC markets, could appeal to overseas capital, in our view.
Japan’s interest rates and long-term bond yields have remained relatively flat and very low compared to other markets, offering attractive property yield spreads and limited likelihood of repricing. This environment has led to a substantial depreciation in the yen, reaching a multi-year low against the US dollar. As such, the rising cost of imported goods has driven headline inflation above the Bank of Japan’s 2% target. Should these headwinds continue unabated, consumers’ purchasing power, as well as corporate profits, could wane, increasing pressure to pivot away from a dovish monetary policy stance.
Higher interest rates and weaker growth projections relative to other APAC economies, could position Australia’s real estate market for more significant repricing. House price falls could take some heat out of the housing market, though the relative unaffordability of home ownership and rising urbanisation will continue to drive demand for rented property. While the nascent Build to Rent (BTR) sector is not immune to the impact of rate rises, it is typically more resilient than other property types during market downturns. Occupancies in Sydney, Melbourne and Brisbane remained consistently higher than 95% throughout the pandemic, while rental growth in Sydney and Melbourne has shown relatively lower volatility. The benefit of potential steady income streams could help to support property values, with the aim of enhancing portfolio resilience.
APAC economies are ramping up their commitment to net zero carbon targets, with cities setting targets to decarbonise buildings.¹ While national power grids have been decarbonising in recent years, this will need to accelerate substantially to meet ambitious targets. For example, just 29% of Australia’s total electricity generation in 2021 came from renewable sources.² Though the region’s real estate stock is generally newer compared to western markets, a potential challenge to progress could arise from the fragmentation of property owners. The rental premium between green buildings and older assets remains difficult to pinpoint, as green buildings tend to be more modern and would naturally command higher rents. However, with increasing focus on ESG by both occupiers and investors, buildings without green credentials are at risk of lower occupancy. Older assets may also be subject to ‘brown’ discounts, amplified by the likelihood of wider repricing.
ほとんどのアジア太平洋地域の先進国で、コモディティ価格とエネルギー輸入のコスト上昇がインフレ圧力となっており、賃金と建設コストを押し上げています。 アジア太平洋地域のほとんどの中央銀行は、米FRBのタカ派的な利上げに歩調を合わせて金利を引き上げました。その結果生じた債務返済のコスト上昇がアジア太平洋地域の企業や投資家の収益に悪影響をもたらしています。 ゼロコロナ戦略の継続や不動産セクターにおける脆弱性が増していることなど、中国経済は逆風環境にあり、それに伴い国内の消費と製造業は圧迫を受けており、アジア太平洋地域の貿易相手国にも悪影響が及んでいます。例えば、韓国の2022年10月の輸出額は、前年同月比で15.7%減少しました1。
アジア太平洋地域各国はネットゼロ目標への取り組みを強化しており、その一環として各都市は建物の脱炭素化目標を設定するようになりました1。 近年、送電各社は脱炭素化を進めていますが、野心的な目標を達成するには、その速度を大幅に速める必要があります。2021 年のオーストラリアの総発電量のうち、再生可能エネルギーを利用した発電はわずか29%でした2。 アジア太平洋地域における不動産物件は一般に欧米各国に比べて築浅のものが多いのですが、不動産の所有者数が多いことが市場の発展のための課題となるでしょう。
ほとんどのアジア太平洋地域の先進国で、コモディティ価格とエネルギー輸入のコスト上昇がインフレ圧力となっており、賃金と建設コストを押し上げています。 アジア太平洋地域のほとんどの中央銀行は、米FRBのタカ派的な利上げに歩調を合わせて金利を引き上げました。その結果生じた債務返済のコスト上昇がアジア太平洋地域の企業や投資家の収益に悪影響をもたらしています。 ゼロコロナ戦略の継続や不動産セクターにおける脆弱性が増していることなど、中国経済は逆風環境にあり、それに伴い国内の消費と製造業は圧迫を受けており、アジア太平洋地域の貿易相手国にも悪影響が及んでいます。例えば、韓国の2022年10月の輸出額は、前年同月比で15.7%減少しました1。 中国を除いたアジア太平洋地域諸国では、新型コロナウイルス感染症対策の制限が大幅に緩和されたため、ゲートウェイ都市や観光地は商品・サービスの需要増の恩恵を受けると考えられます。 アジア太平洋地域諸国が世界経済の低迷・リスクの影響をまったく受けないわけではありませんが、アジア太平洋地域は、中間層の拡大に支えられて、中期的には堅調な成長を遂げると予想されます。
アジア太平洋地域各国はネットゼロ目標への取り組みを強化しており、その一環として各都市は建物の脱炭素化目標を設定するようになりました1。 近年、送電各社は脱炭素化を進めていますが、野心的な目標を達成するには、その速度を大幅に速める必要があります。2021 年のオーストラリアの総発電量のうち、再生可能エネルギーを利用した発電はわずか29%でした2。 アジア太平洋地域における不動産物件は一般に欧米各国に比べて築浅のものが多いのですが、不動産の所有者数が多いことが市場の発展のための課題となるでしょう。 グリーンビルディング (建物全体の環境性能が高まるよう最大限配慮して設計された建築物) は築浅である傾向があり、築浅であるがゆえに必然的に賃料がより高額になるため、現時点ではグリーンではない建物の賃料にどの程度のプレミアムが上乗せされているかを正確に把握することは困難です。 ただ一方では、テナントも投資家によるESGに対する関心が著しく高まっており、環境認証を取得していないような物件は入居率が低下するリスクがあります。 古い物件も「ブラウンディスカウント(ESG要素の弱い物件の賃料割引)」要求の対象となる可能性があり、市場で価格水準の調整が起きた場合は、グリーンビルディングとの格差が広がると考えられます。