スポーツ/音楽観光がもたらす価値
エグゼクティブサマリー
近年、スポーツや音楽イベントが盛んに開催されるようになり、応援するチームの試合観戦や人気アーティストのライブ鑑賞の目的での旅行が急増しています。
現在では多くの国々で国際的なスポーツ大会や音楽イベントが開催され、世界中からファンが駆けつけます。こうした忠実なファンは、旅行を特別な思い出にしたいと思っています。当社はレポート『スポーツ/音楽観光がもたらす価値』を通じて、世界のスポーツや音楽ファンが旅行体験に何を求めているのか、より充実した旅行にするためにどのような準備をしているのか、そしてどの程度消費しているのかを調査しました。
市場価値の拡大
2023年
スポーツ観光の市場価値は
5,647
億ドル*
2032年
スポーツ観光の市場価値は
1兆3,300
億ドルに達する見込み*
2032年
音楽観光の市場価値は
138
億ドルに達する見込み*
*Global Markets Insights、『スポーツ観光市場予測 2024~2032年』
**Custom Market Insights、『世界の音楽観光市場 2024~2033年』
コリンソン・インターナショナルは、独自の空港体験プログラムであるプライオリティ・パスとラウンジキーの運営会社として、空港体験、ロイヤルティ、顧客エンゲージメント・ソリューションを提供するグローバルリーダーです。今回の調査は、スポーツや音楽ファンの旅行習慣についての洞察を提供しており、それを通じて戦略的な顧客エンゲージメント・ソリューションを構築し、ブランド・エンゲージメントやロイヤルティ、クロスボーダー消費の向上に役立てることができます。
新たな旅行経験
スポーツと音楽には、国籍、年齢、性別を超えて、旅するファンの間に一体感や共感を生み出す力があります。
ファンは、「人生最高」の旅行として思い出になるような、印象的な瞬間を望み、イベントの間だけでなく、その後も記憶の中で長く続く魅力的な体験を作ろうとするのです。そのように思う背景には、さまざまな要因があります。
イベント
スポーツや音楽イベントが増えたことにより、ファンにとって旅行先の選択肢が拡大
メディア露出
既存または新たなスポーツリーグが、テレビやストリーミング配信を通じて国際的に認知されるようになり、ファンによる旅行が促進されました。音楽ファンは、アーティストを外国で見ることができるのは、コストパフォーマンスが良いと回答
体験
新型コロナ感染拡大より数年間続いた渡航制限が解除され、イベントの開催が順次再開されており、ファンはより充実した、新たな体験を期待しています。
顧客ロイヤルティの高いファン
スポーツ/音楽観光の盛り上がりは、ファンが国内外を問わずイベントに熱心に駆けつけていることを示しています。
「過去3年間に空路による旅行をした、または今後1年以内にそのような旅行をする予定がある」と回答した割合は、スポーツ観戦目的で5人に4人以上(83%)、音楽イベント目的で71%となりました。
多くは国内旅行ですが、スポーツ観戦目的の半数近く(46%)、音楽イベント目的の5人に2人(42%)は海外旅行をしています。海外旅行をする人のうち、84%がスポーツや音楽イベントのために新しい都市や国へ旅行したことがあると答えました。また、そのうちの31%が複数回旅行をしたことがある、30%が今後再び旅行する予定があると回答しました。海外旅行をする人は23歳以下が多く、スポーツや音楽イベントの目的で旅行するこの年齢層は、今後のビジネス機会につながる注目すべき層といえます。また、半数以上(56%)が年に2回以上、22%が3回以上イベントに参加しています。
若年層の旅行者におけるイベント観光人気の背景には、おそらくスポーツファンや、一定の音楽ファンが持つ帰属意識があることを示しています。旅行で最も多いのはサッカー観戦(69%)となりました。サッカーが世界的な人気スポーツであることを考えると、これは当然の回答結果ともいえます。実際、サッカーファンは海外試合(72%)と国内試合(71%)の両方に足を運び、ホームとアウェーの両方を観戦しようとします。
スポーツ/音楽ファンに最も人気のある都市
ロンドン
パリ
ニューヨーク
バルセロナ
ドバイ
シドニー
EXTRA TIME
サッカーの次に観戦目的の旅行者が多いのがバスケットボール(27%)で、その後にオリンピック、F1(ともに26%)、テニス(21%)と続きました。一方、音楽イベントでは、ロック・イン・リオ、コーチェラ・フェスティバル、トゥモローランドとの回答が最も多かったほか、人気アーティストではテイラー・スウィフト、トラヴィス・スコット、ヴァスコ・ロッシ、エド・シーランなどの名前が挙がりました。
アンコール!
84%
31%
30%
海外旅行をすると回答した人のうち、84%がスポーツや音楽イベントのために新しい都市や国へ旅行したことがあると答えました。また、そのうちの
がこうした目的で複数回旅行したことがある、
が今後旅行する予定があると回答しました。
イベント前後も滞在
イベントの1~3日前に到着したいと回答した割合は、音楽ファンで78%、スポーツファンで76%、またイベントの1~3日後も滞在したいと答えた割合は、音楽ファンで80%、スポーツファンで79%となりました。
旅行の主な理由はイベントですが、それはあくまでも旅行の一部であり、旅行と切り離せない体験となっています。
ファンは新たな地での探検を熱望しています。スポーツや音楽イベントの世界的な増加は、これまで考えられなかったような新しい国や都市を訪れる機会につながり、旅行需要を生み出しているのです。ファンがリピーター客となる可能性が高いため、地元の観光業界にとっても将来的に大きな経済効果が期待できます。
イベント旅行者の支出額
空港
旅行全体
イベント目的の旅行者の空港での消費額は、一般的に100ドル(回答者の44%)です。一方、F1、オリンピック、バスケットボールを観戦する旅行者のそれぞれ32%、31%、30%が、200ドル以上を消費すると回答しており、消費額にはかなり幅があります。音楽イベント目的の旅行者の場合は、25%が200ドル以上を出費すると答えました。
空港での支出額が最も多いのは、スポーツファンで、年齢層は25歳から34歳となっています。50ドル以上を出費すると答えた割合は、全体では64%であったのに対し、この年齢層においては3分の2以上(70%)となりました。また、この年齢層は音楽イベント目的の旅行でも支出額が多く、49%が50ドル以上を出費すると回答しています。
最も支出額が大きいのはスポーツ観戦旅行者となりました。その半数以上(51%)が1回の旅行で500ドル超を出費しており、うち29%の出費額は1,000ドル超となっています。海外旅行をすると回答した人(35%)や、特にアジア諸国の回答者の17%は2,000ドル超を出費したと答えています。全体的に25~34歳の年齢層が最も支出額が大きく、スポーツ観戦旅行者の3分の1(33%)、音楽イベント目的の旅行者の31%が、1,000ドル超を出費すると答えています。
25~34歳のうち1/3が1回の旅行で1,000ドル以上を消費している
最も支出額の多い国籍
空港で
旅行全体で
スポーツファンのうち
ブラジルからの旅行者
37
%
メキシコからの旅行者
36
%
音楽ファンのうち
メキシコからの旅行者
39
%
UAEからの旅行者
38
%
スポーツファンのうち
香港からの旅行者
45
%
UAEからの旅行者
40
%
音楽ファンのうち
UAEからの旅行者
43
%
香港からの旅行者
41
%
200米ドル以上の消費あり
1000米ドル以上の消費あり
チームで旅行
スポーツや音楽は、記憶に残る素晴らしい思い出を与えてくれるため、多くのファンは他の人と一緒に旅行し、体験を共有します。スポーツや音楽イベント目的の旅行者の3分の1(33%)は、パートナーのみが同行と回答しており、特にメキシコ人でその傾向が強くなっています。
回答者の3分の1以上(38%)が友人と旅行すると答えており、人数は5人以下のグループが望ましい(31%)と回答しています。友人との旅行では、音楽イベント目的の旅行(40%)の方が、スポーツ観戦目的の旅行(37%)よりも多くなりました
男女別に見ると、男性は音楽イベント(51%)よりもスポーツ観戦目的(56%)の方が多く、女性はスポーツ観戦(43%)よりも音楽イベント目的(49%)の方が多い結果となりました。
空港体験の利用
回答者の約半数(47%)が、イベント目的で旅行する際に、空港ラウンジ(29%)、ゲームラウンジ(16%)、スリープポッド(13%)、スパ(12%)などの空港体験を利用していると答えました。
こうした空港体験は、旅行者が応援するチームの観戦やアーティストのライブ鑑賞をする前後にリラックスできる絶好の機会となります。プライオリティ・パスが先般実施した調査では、回答者の53%が、空港ラウンジの利用は旅行中の気分転換になると考えていることが分かりました。
空港ラウンジを利用する割合は、旅行全体の支出額が高い人ほど高くなります。また興味深いことに、バスケットボール、F1、オリンピックを観戦する旅行者がラウンジを利用する割合は、それぞれ48%、45%、44%と高くなっています。
さらに、支出額が1,000ドル超の音楽イベント目的の旅行者の45%、スポーツ観戦旅行者の40%がラウンジを利用しています。他方、空港ラウンジは支出額が中程度の消費者にも手が届くサービスであり、支出額250ドル超の消費者の34%がイベント目的の旅行時にラウンジを利用すると答えました。
スポーツ/音楽ファンが空港ラウンジを利用する主な理由
Event travellers prioritise relaxation at the airport but as already noted, do make purchases, particularly those travelling with friends compared to solo travellers. Again, sports fans aged between 25 and 34 spend the most at the airport.
More than two-thirds (70%) of this age group will spend more than $50 compared to 64% of all travellers. Similarly, their peers travelling for music events are more generous in their spending with 49% parting with $50 or more.
リラックスやくつろぎ
飲食
落ち着いた空間
Music
54
%
Sport
53
%
Music
50
%
Sport
49
%
Music
48
%
Sport
48
%
ラウンジ滞在を楽しむのはファンだけではありません。大会参加のための移動はアスリートにとっても疲労を伴うものとなるため、できる限りシームレスで快適な移動ができる方法を模索しています。
コリンソン・インターナショナルは、全米女子バスケットボール選手協会(WNBPA)、プロテニス選手協会(PTPA)など、トップレベルのスポーツ団体とプライオリティ・パス・プログラムで提携しています。このようなパートナーシップは、ファンやプロフェッショナルが安心して旅行できるようサポートするという私たちのコミットメントの表れです。
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ロイヤルティ特典
イベント参加目的で旅行する人の半数以上(55%)がロイヤルティプログラムに加入しています。また、回答者の多くが、航空券(52%)やチケット(43%)、ポイント/マイル(41%)、宿泊料金(40%)の割引を提供するロイヤルティプログラムに加入した経験があります。イベント目的の旅行者の3分の1以上(38%)が、イベントパッケージ(航空券、宿泊施設、送迎、チケット)、旅行保険(38%)、空港ラウンジへのアクセス(33%)といった、プログラム限定特典を提供する決済カードを選ぶと回答しています。
空港ラウンジへのアクセスは人気のある旅行特典:決済カードの特典として望ましいと回答した割合(国籍別)は、インド(43%)、香港、アラブ首長国連邦、オーストラリア(いずれも41%)、シンガポール(40%)、ドイツ(34%)、英国(33%)、ブラジル(32%)で高い結果となりました。
旅行の計画
イベント目的の旅行者がパッケージ旅行を予約する際に旅行代理店を利用する割合
音楽ファン
55
%
スポーツファン
58
%
イベント旅行客の予約経路
回答者の46%は旅行代理店を通じたパッケージ旅行の予約をしたことがない一方で、このうち4人に1人以上(29%)が、可能であれば検討したいと答えています。
スポーツ/音楽ファンの旅行体験は、どのように旅程を組むかによって変わってきます。旅行代理店、パッケージ商品から、スポーツクラブ、音楽団体まで、音楽/スポーツファンにはさまざまな選択肢があります。イベント目的の旅行者の半数以上(54%)が、旅行代理店を通じてイベントのパッケージプランを予約しています。その割合は音楽ファン(55%)よりもスポーツファン(58%)の方が多く、国籍別で旅行代理店を利用する割合が最も高いのは、タイ(74%)、インド(69%)、ブラジル(68%)となっています。
なお、パッケージ旅行者も空港体験を重視していることが分かりました。空港ラウンジを利用する旅行者の約3分の2(60%)は、旅行代理店を利用する傾向が高くなっています。また、22%が空港ラウンジの利用、スリープポッド(14%)、スパ利用(14%)がパッケージ旅行に含まれていることに関心があると回答しています。
54%
47%
40%
イベント目的の旅行者の54%が旅行代理店を通じてパッケージ旅行を予約
スポーツ観戦目的の旅行者の47%が、スポーツクラブを通じてパッケージ旅行を予約
音楽イベント目的の旅行者の40%が、音楽団体を通じて海外旅行のパッケージツアーを予約
最後に
スポーツ/音楽観光で旅行するファンは、幅広い地域、年齢層で構成されており、旅行の同伴者や、お目当てのスポーツやイベントもさまざまです。それぞれのグループやファン層の旅行行動は異なりますが、いずれも旅行全体の体験を高めることで、旅行をより良いものにしようとしていることは明らかです。空港ラウンジへのアクセスやそれに付随する空港体験などの旅行特典は、旅をよりシームレスで楽しいものにするという点で、このことと大きく関わっています。
コリンソンは、顧客の要望やニーズの移り変わりを認識し、幅広い空港体験を提供しています。現在および将来のビジネス・パートナーと手を携えて協力することで、イベント旅行者の体験を格上げするとともに、業界全体のビジネス機会を最大限に活用することができると、当社は考えています。
旅行者の行動を知ることで、空港滞在中だけでなく、旅行全体を通してエンゲージメントを高めるにはどうすればよいかについての洞察が得られます。イベント訪問の機会に旅行をしたいと考えるファンが増えていることから、これは小売、金融サービス、旅行、ホスピタリティ業界にとっては、旅行特典やリワードを最適な形で調整するチャンスといえます。
「象徴的なスポーツ、音楽イベントのために旅行するファンは世界的に増加し続けています。彼らは忘れられない体験を求めており、多額の出費をしてでも、旅行を特別なものにしようと考えています。」
「ファンとは、言い換えればロイヤルティです。今回の調査により、こうしたファンが旅行特典に高い価値を置いているということが分かりました。この調査結果は、旅行業界や、よく旅行する人をターゲットにする企業にとって追い風となるものです。イベント観光が盛り上がる中、ファンが望む旅行特典を提供することは商機となります。これにより、頻繁に旅行するファン層にとっての優先事項や購買力を知ることができ、エンゲージメント向上やロイヤルティの構築、そして国境を越えた消費促進につなげることができます。」
クリストファー・エバンス
コリンソン・インターナショナルCEO
(注)
調査手法
本調査は、コリンソン・インターナショナルが第三者機関に委託して実施したものです。本レポートの内容は、ここに記載されているいかなる関係者からの支持・同意を得ているものではありません。
旅行者が訪れたい都市についての設問では、シドニーと回答した割合が最も多く(27%)、次いでロンドン(25%)、バルセロナとドバイ(ともに24%)、パリとニューヨーク(ともに23%)となりました。
空港ラウンジを利用する理由についての設問では、音楽ファンの54%、スポーツファンの53%が「リラックスしてくつろぐため」、音楽ファンの50%、スポーツファンの49%が「飲食サービスの利用のため」、音楽ファンとスポーツファンの48%が「落ち着いた空間を楽しむため」と回答しました。
通貨単位は米ドル。
本調査は、プライオリティ・パスの所有・運営会社であるコリンソン・インターナショナルの第三者機関への委託により、17の国・地域の8,537人の旅行者を対象に実施されました。調査対象先:オーストラリア(505)、ブラジル(502)、コロンビア(503)、フランス(501)、ドイツ(503)、香港(501)、インド(502)、イタリア(504)、メキシコ(502)、ペルー(503)、サウジアラビア(501)、シンガポール(503)、スペイン(501)、タイ(503)、UAE(501)、英国(502)、米国(500)。アンケート調査は、2024年6月にオンライン形式で行われました。
コリンソン・インターナショナルについて
コリンソン・インターナショナルは、独自の空港体験プログラムであるプライオリティ・パスとラウンジキーの運営会社として、空港体験、ロイヤルティ、顧客エンゲージメント・ソリューションを提供するグローバルリーダーです。頻繁に旅行する消費者層のニーズ、行動、消費習慣を理解することで、顧客重視かつデータ主導型の戦略的な顧客エンゲージメント・ソリューションを構築し、企業によるエンゲージメント向上やロイヤリティ構築、付加価値向上を支援します。