新しい時代の価値を見つける
新型コロナウイルス感染症による深刻なパンデミックが過去のものとなり、回復へ向かっている現在、世界中の人々は、新型コロナウイルス感染症の後遺症とポスト・コロナがどのような世界になるかに注目が集まっています。ここでは、不動産に投資するお客様が検討すべき課題と投資機会を解説します。
グローバル不動産市場見通し
地域別見通し
英国
欧州大陸
アジア太平洋地域
主なトレンド
景気回復の勢いが増すなか、投資家が考慮しなければならない重要事項は、パンデミックに対応するための財政・金融政策がインフレを引き起こす可能性があるか、そしてインフレが不動産市場にとって何を意味するかということです。一例として、すでに原材料費と建設費が上昇していることが挙げられます。ただし、このことは一時的な現象である可能性があります。 低金利環境がしばらく継続する可能性が高く、債券などの資産クラスに対する不動産の相対的な優位性は維持されるとM&Gは考えています。インフレ率の高止まり懸念が高まったとしても、実物資産である不動産は中長期的にインフレに強い特性を発揮すると考えています。
ESGにスポットライトが当たっています。ネットゼロを達成するためには、まず達成するための計画を策定する必要があり、 2022年になると、資産運用会社は達成計画の詳細に焦点を当てることになると予想されます。どの対策が実行可能で、どれくらいの費用がかるか、また、改善はリターンを伴っているか、などです。 どのような物件に投資するかの戦略は、変化するテナント要件に因るところが大きいとM&Gは考えます。テナントの要件をどれだけ厳密に満たすことができるかによって、高いESG基準を提供する物件とそうでない物件との間で、価値の二極化が進行すると考えられます。
オンラインショッピングの普及は本格的になっていますが、それでも対面での小売りが果たす役割は明らかに存在するとM&Gは考えています。新たな「リテールセラピー(購入者がストレスや精神的苦痛を軽減することを目的とした買い物)」に対する消費者需要は、デジタルでは完全に満たすことはできません。また、クリック&コレクト(オンラインショッピングで購入した商品を実店舗で受け取る)や返品を受けるための施設など、実店舗もオンラインショッピングの一部となっています。経済活動が再開されたなかで、金銭的な余裕を持っている消費者層が求めるスタイルが小売業の新しい姿を形作ることになると考えています。 高利回りが期待できることや賃料水準が大幅に見直されたことを考慮すると、リテール物件のなかには長期的に持続可能な収益が期待できる、魅力的な投資機会が存在するとM&Gは考えています。
世界中で注視されているインフレ動向
ネットゼロ計画策定の年
リテールセクター投資を見直す時期か
テナントが不動産物件に求める要件は加速的に変化しています。オフィスのテナントは、長期的にオフィススペースに何が必要かを冷静に再考している一方、物流業者は、増加する配送量に対応するために効率的な物流施設を必要としています。不動産の投資家にとって、将来の顧客ニーズに合致する物件を整備することが最優先事項であり、また、2022年は、ネットゼロを達成させるための計画が行われると考えています。 同時に、人々の健康と気候変動の課題に取り組むための施設に対する需要が高まっていることから、科学やイノベーションのためのクラスター(研究施設の集積地)などのオルタナティブ分野とそれに関連するエコシステム(企業や顧客などの要素が集結し、分業・協業による共存共栄の関係)に新しい投資機会が見出されてきています。 本レポートでは、インフレに対する懸念、成長が期待できるセクター、景気循環における回復期待の他、転換点を迎えていると思われるリテール市場など主な注目分野を取り上げています。私たちの生活のあらゆる分野に影響を与えているテクノロジーが、どのように不動産市場に対する影響を強めているかについても、ご紹介しています。
世界の人々がウィズコロナの生活に適応するにつれて、世界経済は回復の兆しを見せています。世界の不動産投資市場は、ウィズコロナ環境とともに気候危機を考慮する必要があり、投資家が過去にも増して積極的に対応する必要がある時代に突入しつつあると考えています。
投資元本は変動し、投資から得られる利益は上昇することもあれば、下落することもあり、お客様の投資元本は保証されません。 数値は過去の実績であり、将来の結果を示唆するものではありません。また、情報は今後変更されることがあり、将来の結果を保証するものではありません。
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With vaccines now in our armoury, sentiment has shifted such that we can begin to plan for brighter days. Many people have accumulated savings while governments and central banks are pumping in substantial fiscal and monetary support. Could pent-up consumer demand rouse the ‘roaring 2020s’? Time will tell. But make no mistake, not all businesses will be positioned to expand. We would expect to see polarisation between different industries and geographies as any recovery moves into gear. This environment, in our view, is likely to expose both growth and contrarian opportunities that could allow real estate investors to add value.
Recovery: where are we now?
経済概観
世界が環境問題に敏感になるにつれて、テナントは賃借物件を決定する際に、ESG要素を重要視するようになりました。テナントが「グリーン」な物件にプレミアムが乗った賃料を支払うことをいとわない一方、ESG要素の弱い物件の賃料には割引を要求する、いわゆる「ブラウンディスカウント」(そのような物件を賃借する意思があれば、ですが)が一般的になりつつあります。 責任ある投資家は、変化するテナント志向を認識しており、規制が導入される以前に、積極的にポートフォリオにESG要素を適用する措置を講じています。英国では、エネルギー性能証明書の格付けが最も低いF・G格の商業用不動産物件を継続的に賃貸することが違法となるまでに1年強となっており、さらにエネルギー効率基準の厳格化により、2030年にはB格の取得が最低要件となります。 しかし、先を見据えて行動する資産運用会社は、不動産ポートフォリオにおけるネットゼロを達成するための工程をすでに策定しています。既存の建物の場合、実現性の評価と必要投資額を計算することが必要になります。これは、「チェックボックスに『レ』点」を入れることができる高品質の物件とできない物件との価値の二極化が拡大することにつながるだけです。さらに、必要基準を満たすための費用が高額すぎる物件も「取り残される」リスクに直面する可能性があると考えます。
物件の質に応じて拡大する賃料格差
賃借人はグリーン物件を求め、投資家もそれを求めています。労働者も、新しい仕事を探す際に考慮する事項になっています。グリーン物件、特にロンドンのオフィス物件の需要が増加し、賃料と物件価格にプレミアムが乗ることが予想されます。ロンドンにおけるグリーン認証済みの建物数はすでにかなりの数に上っていますが、今後の改修と開発によってさらに増加すると考えられます。
ESGは価値の二極化の要因
両方で最高の対応を求める消費者
小売業は復活するか
都市部での生活への回帰
ハイテクブーム
出所
注意深く前進
長期的な投資機会
強靭性
ロンドンを中心とした大都市の最終消費者に近い場所にあるラストワンマイル物件は、堅調な需要が継続的することが予想されます。大都市部における物件は立地上の制約が大きいため、供給がなかなか追いつかず、特に最新のハイテク要件を満たした仕様の物件は、魅力的な賃料見通しは有していると思われます。
限定的な英国における直近の感染の波による入院者数と死者数の増加
英国は、コロナウイルス感染症に対する集団免疫獲得のための枠組み作りに関しては先駆者です。ウイルスを完全に撃退できたわけではありませんが、政府による規制の緩和と経済の再開が表しているように、英国は自ら足かせを外しコロナと共存できることを学びました。 自由を取り戻し、景気後退リスクが大幅に縮小したように見えており、このことは強力で持続可能な回復の発射台となるはずです。通常行動への復帰やこれまでの感情(恐怖やリスク回避との対照で)を取戻すことなど、行動制限の完全な撤廃と「通常の生活」への復帰は、繰延需要による景気回復につながると考えています。 英国の消費者は貯蓄を消費に充てる方針であり、コンセンサス予想によると、 2021年の英国経済は過去70年間で最も力強い成長を遂げることになると見られています 。2022年の成長率は中国に匹敵する高さになると予想されますが、予想どおりとなるには、労働力不足などの問題を克服しなければなりません。 パンデミック突入が引き起こした前例のないほどの景気後退後の急激な景気回復環境を受けて、不動産も上昇基調となり、賃貸物件需要の高まりと同時に、物件種類を問わず不動産賃料の上昇が期待できると考えています。これは、不動産のなかで、景気循環における回復の恩恵を享受できる分野やグロース志向の戦略を後押しするものと考えられます。
パンデミック対応により、平時としては記録的となった債務純増額
今後の展開を考える上で参考になるのは、第一次世界大戦後及びスペイン風邪の大流行とこれらが引き起こした経済混乱の後は、快楽主義と贅沢な生活が主役となり、経済成長を加速させました。 それにもかかわらず、1世紀前の「狂騒の20年代」は、急激な物価上昇を引き起こさず、むしろ全般的にはデフレでした。しかし、その後は、戦時下の政府債務の急増に伴って高インフレが継続しました。 翻って、今日では経済が活気を取り戻し始めている状況で、政府債務が急増しているなかでの巨額の財政出動、金融システムへの巨額な流動性供給などを勘案すると、最終的には高インフレを招くのではないかと考えています。このシナリオが現実となった場合には、長期にわたる低金利環境に終止符が打たれることになります。 インフレを昂進させる要因の多くは一時的なものであり、世界金融危機後のインフレが短期間で収束したのと同様に、インフレの暴走は止められないものではないとは考えています。しかし、もしインフレが収束しなかった場合はどうなるのでしょうか。 不動産は実物資産として高インフレに対するある程度のヘッジ機能を持ち合わせていると考えられます。不動産の本質的な機能は、物件そのものだけでなく、テナントが物件に求める真の価値を加えた価格(家賃)を徴求することです。一般的な物価水準が時間の経過とともに上昇する場合、不動産価格も同様に上昇するはずです。これは、1970年代と80年代の高インフレ期を含め、過去の実績が証明しています。
不動産投資のテーマ
投資戦略
再開された英国経済
「狂騒の20年代」にインフレは起きたか
ハイブリッドショッピングの台頭
新型コロナウイルス感染症により、リテール業者が長期間にわたって店舗を閉鎖することを余儀なくされたことでリテール業界は一変し、その間にオンラインショッピングへの移行が加速しました。 パンデミックの間、物流施設が勝者であったことは明白であり、最終消費者に近接する立地に位置する近代的なラストワンマイルの施設(顧客にモノ・サービスが到達する最後の接点) に対する需要が高い状況は続くと思われます。ただし、物流施設の容量には限界があるため、24時間いつでもクリック一つで買い物するのが当たり前になったデジタル化に精通している人々による将来の需要増を満たすためには策を講じる必要があります。 それでも、消費者は対面とオンラインの両方で最高の対応を求めています。つまり、テナントはこの期待に応えるために、生産と小売りの最適な組み合わせが必要になります。 同様に、実店舗の存在意義も変化しています。今や、単に商品を手にして購入するための物理的なスペースとしてではなく、オンラインショッピングの需要に応えるために必要となったオムニチャネルの一部になりました。 したがって、オンラインショッピングのプラットフォームと連携し、クリック&コレクト方式を活用できる大都市圏のリテール物件は、消費者の買物習慣の変化に対応できる適性を備えた物件と考えています。
実店舗は、オンラインショッピングの普及という構造的な変化がもたらした課題に直面している状況が続いていますが、同時に景気サイクルの影響も受けています。リテールセクターは、過去4年間にも及ぶ深刻な不況から、回復へ向かう転換点にさしかかっていると考えています。すでにグリーンシューツ(回復の兆し)も見えています。リテールウェアハウスの賃料低下が収まり、投資家のセンチメントが回復してきたため、物件価格は2021年を通じて上昇しました。 小売店舗やショッピングセンターの回復は遅れています。ただし、プライム物件の利回りは数十年来の高水準にあり、高品質の物件を割安な価格で取得するタイミングが到来していると思われます。 景気の急回復は、経済全般とともに消費者による支出を増加させており、下方圧力がかかっていたリテール物件の賃料は安定し、さらには、上昇に転じる可能性があると考えます。下振れリスクの低下を感じている投資家が、高い利回りに惹かれてリテール物件に戻る可能性が高いと考えています。このことは、リテール用物流施設ですでに見られているのと同様に、賃料の回復につながる可能性があります。 しかしながら、注意も必要です。リテール部門の多くの物件の将来性は依然として見通しが不確実で、場合によっては期待どおりにならない可能性もあります。プライムでないショッピングセンターは、世界金融危機以降に一旦回復を見せましたが、結局その後のパフォーマンスは不冴えでした。脆弱な物件の多くは、末期的な衰退を迎えることが予想されます。一方、リテール物件として持続可能な高品質物件の現在の魅力的な価格は、逆張りとしての好機の可能性があると考えています。
需要が回復している都市部の住居物件
この1年半は「田舎への逃避」が注目されましたが、社会の正常化に伴い、都市への回帰が進んでいます。家賃は手頃な水準となってきているなか、賃借需要が増加し始め、供給が減少し始めているため、特にロンドン中心部での賃貸物件の需要回復に対する期待が高まっています。 足許の変化はパンデミックの間に見られた落ち込みの一部を回復させていますが、その他の分野は戻ることなくこのままで推移する可能性が高いと考えています。このことは、都会に居住する場合、テレワークのために必要なスペースを確保するために寝室を増やすことや、ビルドトゥレント(賃貸のために建設された物件)物件の場合はコワーキングスペースに対する需要が増加することを示唆しています。そのためには、賃借人が職場と家庭の間をシームレスに行き来し、両方のメリットを享受できるようにする技術面及び社会面での接続性を備えることです。 都市部への回帰が見られるとはいえ、郊外への移住が終わるわけではありません。家族で暮らす郊外の賃貸物件は今後も増加すると考えられ、テレワーク以前には容易ではなかった選択肢が生まれています。そのため、投資家はビルドトゥレント物件の対象をあらゆる年齢層や生活スタイルを送っている賃借人に拡げることを検討しており、都市部と郊外の両方の物件をポートフォリオに組み入れることになると考えています。
映画監督のゴッドフリー・レッジョは、「私たちがテクノロジーを利用しているのではなく、テクノロジーを生きています(It’s not that we use technology, we live technology )」とコメントしています。テクノロジーとデジタル化が私たちの生活のあらゆる面を推進しており、不動産とテクノロジーの関係が深くなっているのは当然の帰着です。 クラウドコンピューティングに「頭脳」があるとしても、データを格納するためのスペースは必要です。グローバルにデータ処理が指数関数的に増加し続けることは必定であり、データセンターに対する需要は引き続き増大すると考えられます。データセンター投資がディフェンシブで収入源が分散されていることも、投資家にとって魅力的です。 テクノロジーはまた、医療産業を進歩させています。メドテック(医療技術)、バイオテクノロジー、デジタルヘルスなどで構成されるライフサイエンスはその主要な成長分野です。ライフサイエンス(及び関連するクラスター、エコシステム[企業や顧客などの要素が集結し、分業・協業による共存共栄の関係])の不動産物件は、投資家に成長機会を提供すると考えています。 伝統的なセクターの新規物件は、新しいテクノロジーを活用して建設される傾向が強まっていますが、既存の建物は、陳腐化を避けるために改装する必要があります。テナントの求めるものが変化していることは、ESGの達成と密に関連しています。テクノロジーがウェルビーイングの向上に焦点を当てているか、又は照明・センサーから温度計・ソーラーパネルまでの新しいテクノロジーを通じた環境良化に焦点を当てているかにかかわらず、建物の持続可能性要件を向上させることに寄与します。 どのセクターに焦点を当てても、不動産物件はあらゆる形態のテクノロジーを採り入れる必要があります。さもないと、すぐに取り残されてしまいます。
『Our World in Data』2021年10月
MSCI『UK Quarterly Index』~2021年第2四半期
ロイヤル・チャータード・サベイヤーズ協会調査 2021年8月
最小エネルギー効率基準を満たしていない、又は維持できない物件は、借手が付かず、投資家にとってお荷物になるリスクがあります。また、小売業におけるオンラインショッピングのシェア拡大が構造的なものであることより、変化する消費者とテナントのニーズに適応するための変革を行わないような非プライムのリテール物件は、末期的な衰退のリスクを負っています。
投資家が学生専用宿泊施設(PBSA)に投資しているにはそれなりの理由があります。英国の高等教育(HE)に対する海外からの留学需要と国内の需要は強く、それに伴い、PBSAに対する需要も堅調です。ただし、供給が増加していることや授業料の二極化が拡大していることを勘案すると、国内学生向けのPBSA物件を中心に考えるべきという点に変化はないと思われます。学生がHEに求めるものは、品質の高い授業とコストパフォーマンスであるため、授業料が安価な大学が1校しかない地区の物件は厳しい状況に置かれるかもしれません。
足許の空室率は高いものの、今後は改善が見込まれ、投資家はこの数十年で最も割安な価格で高品質のショッピングセンターを取得することができる状況になるかもしれません。賃料が急速に回復するというシナリオは楽観的すぎるかもしれませんが、市場サイクルを勘案すると、逆張り投資が好リターンを生み出す可能性があります。大規模ショッピングセンターは、すでに市場サイクルの上昇の恩恵を受けています。
高齢化、高齢者介護部門の資金不足、そしてパンデミックによって高齢者の孤独対策として地域による触れ合いの必要性が浮き彫りになったことは、民間による高齢者向け賃貸住宅が必要であることを示しています。ビルドトゥレント物件がもつサービス機能と快適な環境に「住み慣れた環境で余生を過ごす」ためのサポートを組み合わせ、支援を受けながらの独立した生活を求める高齢者による需要は大きく、このような分野は大きく成長すると考えられます。
生活のあるゆる部分にテクノロジーが組み込まれるようになっているため、不動産の投資機会は多く存在します。テクノロジーの進歩は、データセンター、ライフサイエンスなどの新興分野を成長させています。一方、従来型の物件種類においても、テクノロジーは、物件の効率性を高めることや、質の高さをテナントに訴求することを可能にしています。
投資家にとっての最大の懸念材料がインフレであるため、インフレヘッジ効果が高い不動産物件に対する大きな需要が期待できると考えます。業績が安定しているテナントとインフレ連動の長期賃貸契約を締結した物件は安定した収益をもたらすことができると考えます。
1 :ブルームバーグ、2021年9月
新規感染者数
入院患者数
死者数(右軸)
2020 3月
2020 6月
2020 9月
2021 3月
2021 6月
2021 9月
70,000 60,000 50,000 40,000 30,000 20,000 10,000 0
1400 1200 1000 800 600 400 200 0
1日当たり新規コロナウイルス感染者数(7日間の移動平均)と入院患者数
死者数(7日間の移動平均)
30 25 20 15 10 5 0 -5 -10 -15
1900
1915
1930
1945
1960
1975
1990
2005
2020
公的債務純増額(会計年度、GDP比)
消費者物価上昇率
%
英国国家統計局、Bank of England、MSCI (UK Annual Property Index)、王室土地登記所(2021年9月)
不動産価格上昇率はインフレ率と同程度
消費者物価上昇率(年率) 全不動産物件の価格上昇率(年率) 住宅価格上昇率(年率)
1970年代・ 1980年代 9.1% 9.6% 14.6%
2000年代・ 2010年代 2.0% 1.8% 5.3%
ロンドンシティ地区オフィス(低利回り物件)
ロンドン以外のオフィス(低利回り物件)
ロンドンシティ地区オフィス(高利回り物件)
ロンドン以外のオフィス(高利回り物件)
106 104 102 100 98 96 94 92 90 88 86 84
物件価格指数(2019年第1四半期末= 100)
2019 年3月
2019 年6月
2019 年9月
2019 年12月
2020 年3月
2020 年6月
2020 年9月
2020 年12月
2021 年3月
2021 年6月
100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0
コロナ以前
コロナの最中
コロナの最中(ロックダウンなし)
パンデミック収束後
消費者の買物の方法
12%
23%
65%
14%
25%
61%
22%
46%
32%
42%
33%
主に全てが実店舗
実店舗とオンライン50%ずつ
主に全てがオンライン
英国小売業協会調査(回答数:1,033) 『食料品以外の商品に対する買物習慣』2021年4月
プライムショッピングセンター物件のトータルリターンは世界金融危機以降の8年間で2倍に、このサイクルでは価格水準が大幅に見直された
リテールのプライム物件はこの数十年で最も高い利回りに
MSCI『UK Quarterly Index』~2021年第2四半期、CBRE 2021年9月
ショッピングセンターのトータルリターン (2007年6月・2017年12月=100)
2007-17利回り(第1四分位数)
2007-20利回り(第1四分位数)
2007-17利回り(第3四分位数)
2007-20利回り(第3四分位数)
150 140 130 120 110 100 90 80 70 60 50
2007/ 2017
2008/ 2018
2009/ 2019
2010/ 2020
2011
2012
2013
2014
2015
2016
2017
2021
1999
2003
2007
2019
プライム物件利回り
オフィス:ロンドンシティ地区
オフィス:英国地方都市
物流倉庫
大型ショッピングセンター
小売店舗
ショッピングセンター
8.5% 8.0% 7.5% 7.0% 6.5% 6.-% 5.5% 5.0% 4.5% 4.0% 3.5%
ロンドンの賃借物件の純需要
2017 年8月
2018 年2月
2018 年8月
2019 年2月
2019 年8月
2020 年2月
2020 年8月
2021 年2月
2021 年8月
50 40 30 20 10 0 -10 -20 -30 -40
社会の正常化に伴ってロンドンに戻った賃借人
パンデミック期間にロンドンを離れた賃借人
スタートアップ・新興
データセンター
ライフサイエンス
トランクルーム
民間による賃貸住宅
リテール
物流
オフィス
成熟・成熟途上
あらゆるセクターとの関係が深くなるテクノロジー
ロンドンのグリーン物件
都市部のプライム産業物件
インフレ連動のロングインカム不動産
立地に優れない学生専用宿泊施設
持続不可能なリテール物件
高齢者向け住居
リテールのプライム物件
テクノロジーの活用
With technology increasingly interwoven in everything we do, real estate opportunities abound. The growth in tech drives the fundamentals of some emerging property sectors, such as data centres and life sciences. More traditional asset types can also use tech to improve tenant appeal or efficiency.
While occupational headwinds remain, going forward these are abating and investors may be able to pick up top quality shopping centres at their cheapest pricing in decades. A rapid rental rebound may be wishful thinking, but a contrarian approach may reap rewards at this low point in the cycle. Retail park values have already benefited by moving into a strong cyclical upswing.
An ageing population, an underfunded senior care sector, and pandemic-led awareness of the need for contact and community to combat elderly loneliness, are all underpinning the emergence of a new private senior living rental model. The demand for independent and assisted living, combining Build to Rent style services and amenities, with additional help to aid ‘ageing in place’, is poised to see significant growth, we believe.
Properties which fail to meet or keep up with Minimum Energy Efficiency Standards risk becoming stranded: unlettable and unviable for investors. Furthermore, with the ongoing e-commerce structural trend, secondary retail assets which fail to reinvent themselves to adapt to evolving customer and tenant preferences, risk terminal decline.
Investors continue to target Purpose Built Student Accommodation (PBSA), and for good reason. A strong global offer and growing domestic demand places UK Higher Education (HE), and the PBSA, in a robust position. However, growing supply pipelines, and increasing polarisation in student HE demand between tariff groups, mean that local level PBSA fundamentals remain key. Locations linked to a single, lower tariff university may struggle, as students focus on HE quality and value for money.
With inflation concerns at the forefront of investors’ minds, real estate that offers the best inflation protection is likely to be in strong demand. Assets that are let to resilient tenants on long inflation-linked leases stand to hold up well.
Last mile fulfilment centres, in close proximity to end consumers in big conurbations, particularly London, are likely to benefit from continuing occupational demand. With supply in such land-constrained locations struggling to keep up, rental growth prospects seem attractive, especially for assets whose specifications are best suited to modern hi-tech requirements.
Government pandemic response drove record peacetime borrowing
1
うさぎと亀 欧州大陸の主要国におけるワクチン接種率は進捗が遅いと当初は批判されていましたが、現在では英米両国を上回る水準になっています。このことは、消費者と企業の信頼感の回復材料であり、堅調な景気回復が今後数年間継続する環境が整ったと考えても差し支えないと考えています。 大きなバッファーをもつ欧州不動産の利回り 短期的な物価上昇圧力は、利上げの是非に関して欧州中央銀行の内部でも意見が分かれる事態を引き起こすと考えています。いずれにせよ、欧州の不動産利回りに大きな影響を及ぼさないのではないかと考えています。10年国債とのスプレッドは過去最大に近い水準を維持しており、債券利回りが低下した場合でもある程度バッファーとして機能すると思われます。不動産市場の流動性が高いことや景気回復に伴う賃料の上昇が見込まれることは、中期的に不動産価格を押し上げる要因になると考えています。
現在の状況
チームとして協働する必要性
欧州の大学クラスターでの科学研究
ホテル業界の回復シナリオ
「ゆっくりと着実」な店舗が消費財販売競争を勝ち抜く
増加する欧州の個人の手元資金
欧州の消費者は、過去に例を見ないほど手元資金を増加させており、この18か月における増加額は約5,000億ユーロに上ります¹。家計の貯蓄率は長期的平均値のほぼ2倍に達し、世界金融危機時とユーロ危機時を大幅に上回っています。 一般的な市場予測によると、今後数年間で貯蓄率等が通常の水準に戻ると仮定した場合、手元資金が使用されるにしたがい、欧州において前例がないほどの大消費ブームが到来することになります² 。 貯蓄資金がどのように使われるかによっては、不動産市場に大きな影響を及ぼすかもしれません。レストランでの食事、休暇、家庭用品やライフスタイル商品など、体験が得られるものが最大の恩恵を受ける可能性が高いと考えています。このことが実店舗の賃料にすぐに反映されることはありませんが、家主や投資家を安堵させる材料になると考えられます。
過去最高になったドイツの製造コスト
需要の急速な回復と、輸送のボトルネック・混乱により、欧州・中国間の輸送コストは、年初の4倍以上に上昇しました。港湾や工場での労働力不足も遅延の一要因であり、製造業者、そして最終消費者が、店舗在庫の不足と価格の上昇に直面しています。 ドイツの中央銀行は、2021年末までにインフレ率(年率換算)が5%に上昇する可能性があると警告しています¹。ドイツ経済がユーロ圏全体の約4分の1という大きな市場であり、一部のタカ派は、声高に金融引き締めの必要性を説くようになりました。 消費者は短期的には物価上昇の矢面に立たされることになるでしょうが、エコノミストは、このような急激な価格上昇は一時的にすぎないと判断しているようです。さらに重要なのは、ドイツは数十年ぶりの高いインフレ率となっている一方で、欧州の他の多くの国では懸念しなければならない水準になっていないことです。 超低金利環境が当面継続する可能性は高く、不動産価格上昇をけん引する可能性があります。しかしながら、すべての物件種類・セクターで上昇する可能性は低いと考えます。インカム収入が低下傾向にあるため、コア投資家を惹き付けるには、現在の利回りが非常に低い物件は、賃料上昇の可能性が高いことが示される必要性があるでしょう。
不動産投資テーマ
金銭面に余裕のある消費者は消費する段階にあるのか
価格設定とサプライチェーン
今後10年間で温室効果ガス排出量を55%削減するという欧州委員会の目標に関しては¹、建物が排出する二酸化炭素のうち、テナント排出分が80%にも達しているため、企業、貸主を含む多くの関係者からなるチームワークが必要になると考えています。 欧州は、環境に配慮した建物に対するテナント需要の高さにおける世界的なリーダーです(最近のRICS調査によると70%²)。現在、一部のオフィステナントは、家主に対し、電力の100%を再生可能可能エネルギーにするとともに、厳格な空気・水・廃棄物管理の目標にコミットし、LEED(米国のグリーンビルディングの評価システム)やBREEAM (英国のグリーンビルディングの評価システム)における最高評価の取得を求めるようになっています。 カーボンマイナスの達成が困難なセクターでも大きな進歩が見られました。現在、物流業者のなかには、北欧で電気自動車の充電を提供する建物の支援を受けて、化石燃料を使用しない配送の実証実験を行っている企業もあります。大手スーパーマーケットのなかにも、ソーラーパネル、光センサー、省エネ効果の高い冷凍設備などにより、よりグリーンな店舗を目指す企業も現れています。 このようなイニシアチブは投資家に歓迎されていますが、不動産が環境に与える悪影響を減らすためには、より幅広いテナント層とのエンゲージメントが引き続き必要だと考えています。 2020年代にESGがもし進展しないとすれば、その原因の一つは、賃料の上昇やコストが十分に吸収できないことに伴う関係者の利害が一致しないことと考えます。このような課題を克服するためには、まず関係者が一つのチームとして協働することが必要だと考えています。
欧州の生命科学の研究開発において増加するベンチャーキャピタル投資額
人々の健康、ウェルビーイング、長寿が社会に与える影響に対する認識の高まりにより、科学研究への投資が増加しています。健康、科学、研究を専門とするベンチャーキャピタル資金は、過去10年間で4倍以上になりました¹。この金額は、 7年間で約1,000億ユーロの助成を行うEUの「ホライズンヨーロッパ(研究とイノベーションのためのEUの資金助成プログラム)²」など、公共部門による拠出を含んでいません。 このように投資額が多額になった背景として、欧州のトップクラスの大学への注目度が高まっていることが挙げられます。科学研究のクラスターは、ドイツのハイデルベルク大学やスウェーデンのカロリンスカ大学など、古くから世界的に認められた教育機関を中心に設立されてきました。このようなクラスターは、知識や技術進歩に共同で取り組む姿勢を共有する熟練労働者やエコシステムの共同利用など、質の高い多くの資産(無形を含めて)を共有しています。 不動産投資家にとって、このような取り組みは、期待されている成長を遂げるための多くの道筋を提供していると考えています。小規模な新興企業と大規模なグローバル企業のためのハイテクオフィスやバックオフィスなどの物件だけでなく、人々の生活を豊かにする多くの分野での投資機会があると考えます。学生向けの質の高い住宅、増加が予想されるクラスター勤務者向けの郊外住宅はその一例です。大学主導での最高品質のクラスターに対する投資は増加し、このような施設が拡大期を迎えようとしていると考えています。
ホテル需要の回復のなかでの魅力的な利回り
個人消費は回復しつつありますが、休暇取得の欲求は未だ満たされていないようです。欧州に住む10人のうち9人近くが、2021年中に最低でも1回は休暇を取得したいと回答し、70%以上はステイケーション(休暇を自宅や近場で過ごす)で過ごしたいと回答しています¹。飛行機による旅行の回復は遅れていますが、今年の終わりには運航便数が2019年の80%に回復すると予想されるなど²、良い兆候も見え始めています。 短期的には、新型コロナウイルス感染症の再拡大によるさらなる混乱が起きる可能性を完全に払拭することはできませんが、長期的には欧州の観光市場が拡大基調にあることに変わりはなく、現在の状況は一時的であるという見方をしています。ホテルのなかには底堅さを維持している物件もあり、多くの観光地で需要が復活すると考えています。 景気回復は、RevPAR(販売可能な客室1室あたりの収益) と物件価値の大幅な改善に寄与するでしょう。現時点におけるホテル物件の対コア不動産物件スプレッドは、リスク水準によって異なりますが、範囲としては150bpsから300bps程度です。投資の観点から、特に代替的な長期インカム収入源を求めている投資家にとって、魅力的なスプレッドでの投資機会である可能性があります。 旅行需要が回復した後の重要な課題は、観光業とホテルをどのようにすれば持続可能にできるか、ということに戻ると考えます。投資家、事業者、顧客の全当事者が、廃棄物、使い捨てグッズ、エネルギー消費の削減などで、それぞれが貢献することを期待しています。
「遅い」商品がリテール競争を勝ち抜く
加速する欧州におけるワクチン接種
金利上昇局面で強みを発揮する欧州不動産の厚いスプレッド
Eurostat 『Trading Economics forecast to Q4 2023』2021年第2四半期)
ドイツ連邦統計局、2021年7月
PMA, Trading Economics, July 2021
Eurostat、2021年5月
強靱性
北欧諸国のなかには、賃貸住宅の供給が欧州で最も不足している国が存在します。公営住宅に入居するためには数年間のウェイティングリストに加わる必要があるため、より安価でより手頃な賃料の集合住宅に対する需要があり、このような物件が、投資家に物件価値の上昇と安定したインカム収入を提供することが期待できます。
来店客数、安定した売上げ、持続可能な家賃水準は、大規模ショッピングセンターが安定するための必要条件だと考えます。テナントの顔ぶれは変化するでしょうが、店舗あたりの面積が比較的小さいため、長期間にわたって魅力的なインカム収入をもたらすことができると考えます。
物流施設に対する投資家の需要は急増していますが、すべての物件というわけではありません。不適当な所在地の物件もあれば、非効率な設計で現代のニーズを満たすことができない物件もあります。利回りが最低水準にあるなか、このような物件の出口戦略の重要性が高まっていると考えますが、パフォーマンスは保証されていません。
5年から10年後には、グローバル企業や投資家が持続可能性に注目することで、持続可能でないオフィスビルに対する視線が厳しいものとなり、標準を満たしていないオフィスは賃料を大幅に値引かざるを得ないことになると考えています。ただ、具体的な評価基準は漸く現れ始めたところです。
実店舗での買い物は、低価格帯の商品から、より慎重な買い物へと移行しています。一部のファストファッションのオンライン移行が加速するにしたがい、ファストファッション業界はこれからの10年間におけるハイストリートでの最大の犠牲者になると考えています。
欧州の観光市場に回復の兆候が見え始めており、市場サイクルにおける割安な局面で投資できる機会を生み出しています。相対的価値と1部屋あたり収益を増加させることから、中期的に魅力的なリスク調整後リターンを提供すると考えられます。
退職した人々は、親戚との距離が近く住み心地が良く、楽しいコミュニティ生活を送ることができる郊外の住居を選好する傾向が高くなっています。介護を必要としないシニア層向けの住宅は、賃貸期間が長く、一般的な民間賃貸住宅より有利なリスクプレミアムを提供しており、比較的投資リスクが低く、住宅投資のなかでの分散効果を発揮します。
最先端を行く欧州の大学は、研究開発と知識の共有に重点を置いた一元化されたエコシステムを提供します。投資家にとって、この仕組みは高い成長が期待できる多くの開発分野に同時に投資する機会であり、オフィスと住居の双方の不動産需要に応えることができます。
10年前、欧州各都市のハイストリート(主要な繁華街)は、ファストファッションから高級ブランドまで、大手の衣料店が軒を並べていました。このような店舗の多くは今日でも店を構えていますが、消費者の考え方の変化はこの18か月間で加速しています。ファストファッションなどの低価格品は、効率的な「迅速で簡単な」オンラインショッピングのプラットフォームに移行しており、同日・翌日配送と無料返品のサービスを提供しています。 このような趨勢を受けて、対面販売は「速い」商品から「遅い」商品に重心を置く方法に刷新する必要があります。ライフスタイル用品、家庭用品、1・2年以上は入れ替えを必要としない定番商品かにかかわらず、 「遅い」商品とは、消費者が手に取って確認してから購入する商品を指します。 このような販売方針の転換は、不動産ポートフォリオとテナント構成の変化につながる可能性があります。マスファッションブランドはもはや中核的なテナント層として依存できません。今後成功すると考えられるのは、ショッピングの体験にも焦点を当てる、多様な「遅い製品」を取り扱うテナントになると考えます。
CBRE、2021年8月
1 欧州委員会『European Climate Law』2021年6月 2 ロイヤル・チャータード・サベイヤーズ協会『Sustainability Report 2021』
1 デロイト『European consumers after the pandemic』2021年4月 2 グラフを参照
1 ブンデスバンク、2021年7月
1 ピッチブック 2021年3月 2 『Horizon Europe public funding programme, 2021-2027』
1 Opinium Research & TomTom (7000 respondents)、2021年5月 2 Eurocontrol、2021年8月
出所:M&G Real Estate、2021年11月
ユーロ圏の家計貯蓄率(%)
26 24 22 20 18 16 14 12 10
2001 年第1四半期
2004 年第2四半期
2007 年第3四半期
2010 年第4四半期
2014 年第1四半期
2017 年第2四半期
2020 年第3四半期
2023 年第4四半期
生産者物価指数(前年同期比)
1977
1985
1993
2001
2009
12 9 6 3 0 -3 -6 -9
2021 年1月
2021 年4月
2021 年5月
2021 年7月
2021 年9月
2021 年10月
160 140 120 100 80 60 40 20 0
米国
ドイツ
フランス
イタリア
スペイン
7.0 6.0 5.0 4.0 3.0 2.0 1.0 0.0 -1.0 -2.0
オフィス利回りの対10年国債スプレッド(%)
香港
シンガポール
ミラノ
東京
ニューヨーク
パリ
マドリッド
ストックホルム
ロンドン
ミュンヘン
コペンハーゲン
アムステルダム
ソウル
最低
2021年第2四半期
平均(2000年以降)
創薬
診断
技術システム
バイオテクノロジー
モニタリング
手術
治療
医薬品
その他
欧州大陸におけるベンチャーキャピタル投資額(10億ユーロ)
2010
2018
7 6 5 4 3 2 1 0
中央ビジネス地区のオフィス物件とのスプレッド(%)
0.0
0.5
1.0
1.5
2.0
2.5
3.5
3.0
アムステルダム ミラノ パリ ドイツ5大都市 マドリッド ストックホルム ロンドン
運営委託契約
賃貸借契約
ユーロ圏実店舗販売高 (2015 年= 100)
140 120 100 80 60 40 20 0
食料・飲料
野外レクリエーション
ファッション
家庭用品
ネットゼロ達成のためにはテナントと投資家の関係を見直す必要がある
ピッチブック 2021年3月
生産者物価指数
長期平均
新型コロナワクチン接種 100人あたりの摂取数
最高品質の大規模ショッピングセンター
北欧の集合住宅
ファストファッションの実店舗
持続可能でないオフィス物件
プライムでない物流施設
大学のクラスター(多分野)
ドイツ・フランスのシニア向け住宅
ホテル
Green shoots are emerging in Europe’s tourism market, creating a window of opportunity to enter the hotels sector at a cyclical low. Relative value and the ability to grow revenue per available room should provide attractive risk-adjusted performance over the medium term.
Retirees are increasingly looking for better amenities and community living, close to family in suburbia. With longer leases and a risk premium above typical Private Rented Sector accommodation, the non-care element of senior housing offers income diversification across the living spectrum, at relatively low risk.
Europe’s leading universities offer centralised ecosystems, focused on research and development and knowledge sharing. For investors, this offers multiple entry points to tap into these high growth submarkets, catering to real estate needs across the working and living spectrum.
Investor demand for logistics continues to soar, but not all assets were created equal. Some sit the wrong side of the tracks, others have inefficient lay outs and lack modern day needs. With yields reaching new lows, we believe the exit strategy for these assets is critical and performance is not guaranteed.
Five to ten years from now, we believe the focus on sustainability from global corporates and investors will cast non-compliant office buildings in a new light, with larger discounts placed on subpar office space. Tangible evidence of valuations impacts is only just emerging.
In-store shopping is moving away from low cost items, to more considered purchases. We believe fast fashion will be the high street’s largest casualty this decade, as this part of the market increasingly shifts online.
The Nordics offer some of Europe’s most undersupplied rental markets. Waiting lists to get regulated apartments extend to multiple years, while the often lower, more affordable rental levels of multifamily housing can offer investors stable income with upside potential.
High footfall, steady sales, and rents at more sustainable levels make retail parks a resilient part of the market, in our view. Tenant line-ups may evolve further but relatively low space per capita has the potential to generate an attractive long-term income stream.
1 Pitchbook, March 2021 2 Horizon Europe public funding programme, 2021-2027
ディストレストの兆候は見えない ディストレスト資産の投資機会を探し求める投資家が増加していますが、アジア太平洋地域では、低金利と高い流動性のおかげで、ディストレスト価格で購入できるプライム物件数は限定的です。たとえば香港では、新型コロナウイルス感染症と社会不安が賃貸物件価格に影響を与えてはいますが、地元の投資家が物件を手放さざるを得ない状況にはありません。経済活動の正常化を追うように、賃貸物件の需要が市場サイクルにおける回復期に入ると予想しています。 物流施設には強い追い風 不動産の対債券スプレッドは依然として大きいため、投資家は引き続き利回りを求めて不動産に着目しており、物流施設は引き続きその恩恵を受けています。オンラインショッピングで販売した商品の保管・配送の設備に対する需要が高まっていることを受けて価格が大幅に上昇しており、たとえば普及率が高い韓国では、利回りが2020年の年初から135bpsも低下しています。
成長するクリーン分野への投資
次の混乱に備える
不足している物流施設を補う
ハイストリートのリテール物件に対する新しい見方
個人消費の回復に影響を及ぼすアジア太平洋地域先進国における人流の減少
アジア太平洋地域の主要国は、渡航禁止などの強力な政策により、比較的新型コロナウイルスの感染者数を抑えることに成功しています。しかし、このような政策は、アジア太平洋諸国の成長の重要な産業である観光業を縮小させています。昨年の海外からの来訪者による支出は前年比で約75%減少しました¹。ロックダウンと移動制限は国内消費にも影響を及ぼし、また、労働力の減少により、建設業なども落ち込みを見せました。 厳格な封じ込め措置は、経済面で持続不可能であるとの見方が拡がっています。経済を再開することは、家計と企業活動の正常化につながり、オーストラリアやシンガポールなどの商業地区における来客数の回復に寄与するでしょう。アジア太平洋地域諸国がウィズコロナの政策に移行することにより、アジア太平洋地域の2022年の成長率は5%程度になると予測されています²。 しかしながら、各国政府は、経済回復の妨げになり得る、ワクチンの効果がない変異株の出現に依然注意を払っています。アジア太平洋地域の経済成長に関しては、二酸化炭素排出量削減目標を達成するための中国での(短期間になるとはいえ)製造業の稼働中止措置などにも注視する必要があります。さらに、中国における不動産開発業者へのレバレッジ規制は、中国の不動産業界を減速させる潜在要因であると考えています。
主要国の「グリーン」政策
アジア太平洋地域の経済は、世界的に見ても気候変動に対して最も脆弱であり、影響を受けやすい地域です。たとえば、対策を講じない場合、東京では2050年までに大洪水が頻繁に発生するようになり、不動産物件に与える損害の額は現在の2倍以上になると予想されています¹。 今までアクションを起こさなかった各国政府は、ここにきてグリーン政策の一環として、気候変動対策を具体的に進めようとしています。たとえば韓国では、グリーンニューディール政策により、今後5年間で最大61兆ウォンを「グリーン」セクター育成のために予算化し、スマートシティのイニシアチブを含め、環境改善のプロジェクトに資金を拠出する予定です² 。 気候変動に対処するための財政政策は高コストになりがちですが、同時に経済面の効果が期待されます。グリーン経済の創出は、再生可能エネルギー、製造業、建設業の各セクターにおいて、今後10年間でアジア太平洋地域諸国に1,400万人の雇用を創出する可能性があります³。グリーン分野への民間部門からの大型投資はまた、新たな産業や資産クラスに成長をもたらすイノベーションを促進させるでしょう。 しかしながら、最善と考えられる政策でも、経済や政治が不安定になることにより、効果が上がらない可能性があります。また、インフラ資産の損害を事前に防ぐための大型投資が短期的なインフレ要因になる可能性があります。
景気回復のための足かせを外す
気候変動対策による景気回復の芽生え
加速するアジア太平洋地域のグリーンテクノロジー投資
脱炭素化の推進は、今後10年間でアジア太平洋地域の「グリーン」産業の成長を加速させると予想されています。アジア太平洋地域は、再生可能エネルギーの開発と投資において重要な位置を占めることが見込まれており、ほとんどの市場で再生可能エネルギーの割合が2030年までに2倍になると予想されています¹。 クリーン産業とグリーンテクノロジーの研究開発への注目が高まっていることで投資が集まり、アジア太平洋地域先進国全体でイノベーションクラスターの成長に拍車がかかっています。シンガポールのClean Tech Parkと韓国のPangyo Technology 2はその代表例であり、効率的な水道システムや電気自動車などの持続可能な技術開発のためのテストベッド(実証基盤)を企業に提供しています。 投資家にとって、これらのイノベーションクラスター不動産への直接投資を通じて、成長が見込まれるクリーン技術、及びESGが引き起こす長期的な構造変化に伴う投資機会を提供します。 ただし、適切なインフラの不足や都市計画の不備によってイノベーションクラスターの進展の速度が予想よりも遅れるなど、不動産投資のリターンに影響を与える要因が存在します。クリーンテクノロジーの一部はまだ発展途上にあることを勘案すると、人材不足も技術開発に影響を与える可能性があります。それでも、各国政府による気候変動対策に対する強いコミットメントは、イノベーションクラスターの長期的な成長を促進させる要因であると考えられます。
日本におけるグリーン物件の賃料にプレミアムが付加される期待は、グリーン物件への改修によるリターン向上の可能性を表している
パンデミックが引き起こした混乱は、気候変動や新たなウイルス感染症の発生など、将来にわたり大きな混乱を招くようなリスクに備える必要性があることを浮き彫りにしました。アジア太平洋地域全体ではサイクル的にテナント需要が回復していますが、オフィスのテナントは気候や健康面で耐性の高い物件を求めるようになると考えています。 この予想は、アジア太平洋地域において、ネットゼロをコミットし、今後はそのコミットメントを達成することが課題となる企業数の増加を反映しており、質の高い物件への集中を加速させる一方で、質の低い物件の陳腐化リスクを高めることにつながると考えられます。 世界最大級の総合不動産サービスであるJLLは、アジア太平洋地域全体のプライムオフィス物件のうち、約半分の投資期間がすでに20年を経過しているため、現在、ネットゼロに資する物件に対する需要の急増に対応するだけの質の高い物件が不足していると推測しています¹。したがって、特に韓国や日本など、在宅勤務があまり普及していない国では、古いオフィスを改修することにより、賃料を引き上げることができる可能性があります。 グリーン認証を取得するために、効率的な冷暖房システム、センサー付きのLED照明、ソーラーパネルなどの省エネ対策が必要になります。空気清浄技術と非接触型のタッチパネルなどもテナントが求めるようになると考えます。 ただ、なかには改修が困難な国もあります。たとえば、日本では、(定期建物賃貸借契約ではなく)普通建物賃貸借契約が一般的であるため、テナントは契約満了時に退居する必要がありません。また、建設費の上昇が投資回収期間を長くすることにつながる可能性があります。
開発マージンを圧迫する可能性がある建設費の高騰
アジア太平洋地域市場では、2025年までのオンラインショッピングによる販売増加額が世界全体の増加額の45%以上を占めると予想されており、オンラインショッピング企業や食品業者のニーズに対応できる最新の物流施設が不足しています¹。オンラインショッピング業者間の迅速な配送競争が激化しており、各社とも物流サプライチェーンを再構成していることも不足の一因となっています。 物流業者は、増大する需要に対応するために在庫管理と効率的な仕分けのために自動化を図っていますが、このような設備に対応できる高仕様の物件が現在は不足しています。 その結果、プライムのスタビライズドアセット(竣工済みで、入居率が高く、安定した賃料収入が見込まれる物件)の利回りは急速に低下しています。これは、純営業収益と投資コストに対する純営業収益のかい離幅が大きいオーストラリアや韓国などの国でのビルドトゥコア(物件を開発段階から取得する)戦略を後押しする可能性があります。 しかしながら、足許の世界的なコモディティ価格の上昇に伴う建設費の上昇が続くことにより、開発に伴うマージンが縮小する可能性があります。シドニーや大ソウル圏などの都市で地価が上昇していることも、収益低下要因になる可能性があります。 反対に収益向上要因としては、物件完成以前のテナントによるコミットメントが挙げられ、これは賃貸リスクの低減に寄与し、また、オンラインショッピング企業のニーズに合わせた開発は物件の陳腐化リスクの低減に寄与します。テナントによる事前申し込みは、レクリエーション施設からデイケアセンターまで、労働者のウェルビーイング向上のための施設に及ぶ可能性があると考えられます。
賃貸料と物件価値の相場が下落したことにより、魅力的な投資機会となる可能性が生じているハイストリートのリテール物件
アジア太平洋地域先進国経済の開放に伴い、人々が待ち望んでいた物理的な交流、経験、旅行などが、ハイストリートリテールセクターの回復を促進させることが期待されます。観光客による支出がほぼゼロであったことを背景に、パンデミック発生以降のハイストリートリテールセクターの賃料は地域全体で平均して約16%下落しました¹。 香港、東京、シンガポールは、パンデミック以前は世界的に見ても来訪者の多い都市でした²。アジアの消費者の収入水準は上昇しており、観光が復活するにつれて、ハイストリートの小売りは上向きになる可能性が高いと見ています。 経済が動きだし始めると、ハイストリートリテール店舗のテナント層は拡大し、その構成は以前よりも多様になると考えています。消費者はショッピングに体験を求めており、ハイストリートの店舗の賃料が下落したことで、新規のテナントや革新的な概念をもったテナントが出店する可能性があります。家賃が約30%下落した香港では³、レゴランドが尖沙咀(チムサーチョイ)に子供向けの屋内テーマパークを開設しました。 このようなハイストリートにおける新たなテナント像は、割安な水準で投資家が物件を購入できる機会を提供していると考えることもできます。テナントの業種を拡大し、旗艦施設をタッチポイント(小売業者と消費者の接点)として位置付けることにより、持続的に賃料を上昇させることが可能な施設にすることができると考えられます。 リスク要因は、景気回復のタイミングにあります。インバウンド観光客の回復がさらに遅れる場合や小売業者が原価の上昇を消費者に転嫁できない場合、短期的には賃料がさらに下落する可能性があります。ただし、現在の比較的高い利回り水準は、そのリスクを一部相殺すると考えられます。
増加傾向にあるディストレスト投資機会を窺う資金
競争激化を背景に急速に低下するプライム物流物件の利回り
グーグル モビリティ レポート、2021年9月
Preqin、2021年9月
PMA、2021年9月 注:ソウルのデータは、年次データしか入手できなかったため、期間は2019年第4四半期~2020年第4四半期
オーストラリア統計局、2021年7月
日本
グリーン成長戦略は、水素燃料の航空機・貨物船から、洋上風力発電の開発まで、革新的なソリューションへの投資を目指している
グリーンニューディール政策は、熱水エネルギー、クリーンエア技術、リサイクルにおける能力開発に焦点を当てている
韓国
気候行動計画には、クリーンエネルギーへの多額の投資が含まれており、グリーンファイナンス市場をさらに促進させることが期待されている
グリーンプラン2030は、シンガポールをグリーンファイナンスソリューションの中心都市として、また二酸化炭素回収などの新しい持続可能性技術の研究開発ハブとして位置付けることを目的としている
国家水素戦略は、2030年までにクリーン水素エネルギーの重要な供給国になることを目的としている
オーストラリア
注意深く進む
アジア太平洋地域諸国のイノベーションクラスターは、大規模な投資を呼び込み、新しい雇用を創出する重要な成長エンジンになるでしょう。シンガポールやソウルなどの先進国都市に所在するさまざまなタイプの物件は、今後長期間にわたって強い需要があると見られます。
テナントがESGに対する認識を高めていることを考慮すると、立地が良く、優れた持続可能性の認証を取得している、仕様の高いオフィスは、市場サイクルからいち早く回復する可能性が高いと考えられます。
日本の集合住宅は、パンデミック期間もそれほどの落ち込みを見せませんでした。投資家の需要減退が賃料を押し下げましたが、入居率は高い状態です。主要都市への回帰が起こることにより、市場が成長する余地があります。
国際的な小売業者がマーケティングのためのタッチポイントにするなど、明確な目的をもたずにあいまいな定義で建設したリテール物件は、オムニチャネルが台頭している現代では的外れの物件になる可能性があり、小売業者と消費者の双方から敬遠されることになると考えられます。
ハイブリッド型の雇用が増えるにつれ、共同で作業を行う場としてのオフィス機能への注目が高まっています。従業員を惹きつけるような活気や設備の備わっていない、立地条件の悪いオフィスは、時代遅れになるリスクがあります。
大ソウル圏、オーストラリア、日本の主要都市など、スタビライズドアセットの賃料が高止まりしている都市にあるビルドトゥコアの物流施設は、魅力的なリターンを提供する可能性があります。インフラ投資の増加が計画されているサブマーケットに所在する高品質の新築の物流施設も好リターンが期待されます。
オーストラリアの集合住宅は、新たに導入された政策、投資家の関心の高まり、良好な主要都市の人口動態を勘案すると、中期的に成熟する市場だと考えています。
1 マッキンゼー・グローバル・インスティテュート『アジアにおける気候リスクと対応策』、2020年11月。 2 聯合ニュースエージェンシー、2021年7月 3 国連 国際労働機関
国土交通省、2019年
アジア太平洋地域先進国のデータセンター、ライフサイエンス施設、シニア向け住宅などのオルタナティブ分野は、長期的な構造変革の恩恵を享受できるとともに、ポートフォリオの多様化を図れる機会を提供すると思われます。
1 世界旅行ツーリズム協議会『Travel & Tourism Economic Impact 2021』、2021年6月 2 Oxford Economics、2021年11月
1 Boston Consulting Group、2021年1月
1 JLL『 Unlocking Value in Real Estate report』2021年4月
1 2020年から2025年までのオンラインショッピング成長:Euromonitor『Retail in Transition: Future E-commerce opportunities in Asia Pacific and Australasia』
1, 3 PMA、2021年9月。 2 South China Morning Post、2021年4月。
0 -5 -10 -15 -20 -25 -30 -35 -40
2019年第4四半期~2021年第2四半期の変化
物件価格
賃料
2021年第2四半期のオーストラリアの主要建設資材の価格上昇率(%)
全資材
電気設備
木材・建具
その他金属
コンクリート・セメント・砂
全四半期比
前年同期比
30% 25% 20% 15% 10% 5% 0%
グリーンであることによる賃料のプレミアム
日本の家主とテナントが考える適正なプレミアム
0%
6-8%
0-2%
8-10%
2-4%
more than 10%
4-6%
other
14 12 10 8 6 4 2 0
アジア太平洋地域のグリーンテクノロジーへのベンチャーキャピタル投資額(10億米ドル)
45 40 35 30 25 20 15 10 5 0
アジア太平洋地域でのドライパウダーの額(10億米ドル)
オポチュニスティック
バリュー・アッド
コアプラス
コア
6.5 6.0 5.5 5.0 4.5 4.0 3.5 3.0
アジア太平洋地域先進国におけるプライム物流物件の利回り(%)
2019 年第4四半期
2020 年第1四半期
2020 年第2四半期
2020 年第4四半期
2021 年第1四半期
2021 年第2四半期
人流(対、パンデミック以前、%)
40 30 20 10 0 -10 -20 -30
2021年8月
2020年3月以降の人流
イギリス
アジア太平洋地域先進国
各国政府のデータを基にM&G Real Estate 作成、2021年9月現在
PMA、2021年9月
投資家とテナントのほぼ半数は、グリーンであることにより賃料に4%超のプレミアムが付加されると予想
日本の集合住宅
中央ビジネス地区の高品質オフィス
イノベーションクラスター
立地条件の悪いオフィス
陳腐化したリテール物件
オーストラリアにおけるビルドトゥレント住宅
ビルドトゥコアの物流施設
オルタナティブ分野
Developed APAC’s burgeoning alternative sectors, such as data centres, life sciences facilities and senior housing, could provide an opportunity to tap into long-term structural trends and diversification benefits.
Build-to-core logistics property could offer attractive returns, in markets where pricing for stabilised assets remains high – in Greater Seoul, as well as key cities in Australia and Japan, for instance. Submarkets that stand to benefit from increased infrastructure spending may provide a fertile home for new, high quality facilities.
Australia’s multifamily housing sector is well positioned to mature over the medium term, we believe, given newly introduced government policies, rising investor interest and favourable demographic fundamentals across key metropolitan cities.
Poorly defined retail assets that lack a clear purpose, such as a marketing touchpoint for international retailers, are likely to become increasingly irrelevant in an omnichannel retail era, and will face difficulty in attracting both retailers and consumers.
The increasing adoption of hybrid working has sharpened focus on offices’ function as a place for collaboration. Poorly located offices that lack the vibrancy and amenities to attract employees run the risk of becoming obsolete.
Innovation clusters look set to become key growth engines within APAC economies, attracting major investment and creating new jobs. Various property types within these areas across developed markets, including Singapore and Seoul, should see strong demand over the long term.
Well located, high specification offices with outstanding sustainability credentials are likely to gain most from a cyclical recovery, given occupiers’ increasing focus on ESG.
The multifamily housing sector in Japan has remained relatively resilient throughout the pandemic. Occupancy rates are high, while investor demand has driven prices lower. As migration returns in key cities, the sector could see further growth.
M&G Real Estate from various government websites as of September 2021